研究課題
1.薬剤などを含む細胞の内外からの刺激に応答して動く生体分子の時系列データからベイジアンネットワークモデルで遺伝子ネットワークを推定する際に、隠れ交絡因子の影響を推定するための統計科学的方法を開発した。この隠れ交絡因子は、遺伝子ネットワーク推定の際に計算コストを下げるために外された遺伝子であったり、未知の生体内分子と考えられる。この隠れ交絡因子の存在はネットワーク推定の精度に影響したり、ネットワーク解釈を困難にすることがある。本研究で開発した方法は、ベイジアンネットワークによって推定した局所的ネットワーク構造の不整合性に基づいて隠れ交絡因子を推定し、EMアルゴリズムを用いてこの隠れ変数をもったベイジアンネットワークに基づいて理想的なプロファイルを推定する。この方法は、遺伝子ネットワーク推定における欠損遺伝子や未知生体分子を理論的に特徴づけることを行った世界で最初の研究である。2.DNAチップによる薬剤応答の時系列遺伝子発現プロファイルデータは、遺伝子数と時点数の間に大きなギャップがあり、そのため統計モデルはこの通常規格をはずれた状況を解決しなければならない。我々はこれまで、状態空間モデルにおいてこの困難を次元圧縮という方法で解決してきたが、この方法によりどのようなシステム摂動実験を行い、その挙動をどのように観測すればよいかというデータ計測設計を提案し、薬の作用機構を推定する方式を開発した。3.時系列データから、その関与するパスウェイの活性状態遷移ダイアグラムを構築し解析する新たな方法を開発した。パスウェイのモデル化には高機能ペトリネットを用いた。この方法により、概日周期や薬剤などに応答して機能するキー制御遺伝子やサブネットワークを捉えることができる。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
J.Computer Science and Technology
巻: 25(1) ページ: 131-153
Genome Informatics
巻: 24 ページ: 84-95
Proc.10th IEEE Bioinformatics and Bioengineering
ページ: 168-173
BMC Systems Biology
巻: 439 ページ: 1