研究課題/領域番号 |
22300103
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷田 純 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (00183070)
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研究分担者 |
小倉 裕介 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (20346191)
香川 景一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (30335484)
山田 憲嗣 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 特任准教授 (70364114)
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キーワード | フォトニックDNAプロセッサ / DNAコンピュータ / 分子センサ / 生体生命情報学 / ナノマシン / 情報システム / 蛍光 / 光マニピュレーション |
研究概要 |
本研究では、ナノスケール領域において、情報に対する論理的プロセッシングに加え、センサやアクチューエータを介した物理的プロセッシングを実行する極微小のプロセッサ(フォトニックDNAプロセッサ)を構築し、バイオ情報計測への適用によりその有効性と実用化への課題を明らかにする。本年度はフォトニックDNAプロセッサの機能実証、暗合化アルゴリズムの検討、分子情報取得技術の開発などを行い、以下の成果を得た。 1.フォトニックDNAプロセッサの構成要素として、DNA構造の光制御に基づくリセット可能な分子センサを考案した。性能評価実験より、対象DNA濃度を光信号入力タイミングに従って繰り返し測定できることを確認した。 2.スケーラビリティの高い演算の実装方式として、DNA構造体による分子配置と蛍光共鳴エネルギー移動に基づく信号伝送を組み合わせたDNA scaffold logicを考案し、基本ゲート動作と組み合わせ論理演算を実証した。 3.DNA置換反応を利用した光入力型DNAオートマトンを構築し、光入力列に対して所望の出力が得られることを確認した。 4.フォトニックDNAプロセッサ間の協調動作を行うプロセッサグリッドを用いた暗号化画像分子メモリへの応用に関して、NAND演算ベースによる暗号化アルゴリズムを構築し、DNA反応の繰り返し減衰性を利用する方法を検討した。 5.分子系における分子の3次元的な分布を観察するために、波面符号化技術を利用した拡張被写界深度レンズアレイ(3×3要素、焦点深度±120μm、焦点距離1.1mm、レンズピッチ0.85mm)を開発した。また、深い被写界深度を実験により確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、フォトニックDNAプロセッサの実装方式として、プロトタイプ、DNA scaffold logic、光入力型DNAオートマトンを考案・検証し、機能を実証した。また、液滴光トラップによるDNAプロセッサ輸送などの周辺技術の開発や、画像暗合化などのアルゴリズムの整備も進めた。光信号のブロードキャストによる多様なプロセッサ群の並列駆動の実証など課題はあるが、ほぼ当初の予定通り進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおり計画を進める。フォトニックDNAプロセッサの機能拡張のため、DNA応用技術に基づく蛍光出力機構の高機能化を進める。プロセッサ内部の情報のフィードバックや分岐伝達の機構を検討し、これらの機構をDNAプロセッサに組込む。また、プロセッサと外界(マクロ世界)をつなぐナノフォトニック通信技術を実装する。得られた成果を統合してバイオ情報計測に適用し、本プロセッサの有効性を評価する。 なお、研究分担者の香川は主要な役割を終えたため、今後は研究連携者として参画する。
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