研究概要 |
我々は生体内で、線維連絡を可視化する手法を見いだしたので (Ichinohe et al., 2012, Sci Rep)、この手法を用いて他者行動を認知するシステムを、最初に他 者を認知する脳部位を見いだし、そこと結合のある領域で行われている他者行動および、条件 による他者行動に対する反応から、他者行動認知および他者の行動意図を認知する結合のある システムの各部位でどのような情報処理が行われ、またダイナミックに相互にどのような情報 交換があり得るかを追求した。まず、我々は状側頭溝(STS)の後端に他者の摂餌行動を行って いるときに、麻酔下の特殊なフェイズで神経活動の起こる領域を見いだした。ここにトレーサ ーを注入すると、前頭葉に結合のスポットが観察でき、この注入部位であるSTS と前頭葉に慢 性電極を埋め込んで、覚醒下での記録を試みた。この結果、前頭葉(含む前頭前野、6v)で、 自己の動作と他者の動作で同じ行動の際に、活動が見られるミラーニューロンが見いだされ、 新世界ザルで初めて、ミラーニューロンの存在を確かめた。このことは、自閉症ミラーニュー ロン説を確かめる重要な発見と思われる。同時に、STS は他者の意図、運動野に近い細胞群は、 他者の行動そのものの形やツールの使用などに、影響されることが分かった。他者認知のネッ トワークでの各ポイントにおける部位の表現している情報に違いあることが分かった。
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