研究課題/領域番号 |
22300110
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大澤 五住 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (20324824)
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研究分担者 |
佐々木 耕太 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (40467501)
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キーワード | 脳梁 / 一次視覚野 / 受容野 |
研究概要 |
霊長類やネコなど高度な両眼立体視能力を持つ動物の網膜から中枢への投射は、網膜の垂直子午線(中心窩を通る垂直線)で分断され、左右の脳半球に送られる。最も視力が高く重要な中心視野における視覚認知を担う情報が、脳梁の担う機能により、運動する物体の連続性も含めて非常に精巧に継ぎ合わされている。平成23年度には、視交差切断手術を施した動物において対側の半球へ投射する視神経繊維を切断することにより、一次視覚野の単一細胞に投射する、脳梁を介した視覚入力と脳梁を介さない入力の応答特性を詳細に調べた。視覚刺激に対する脳梁を介した反応の潜時が20-25ms程度も同側由来の反応に比べて長い事がわかった。方位と空間周波数については、同側・対側とも同様のチューニング特性を持っていた。また、両眼視差選択性については、ほとんど持たないか、あるいは弱いものがほとんどであった。微小電極を両半球の初期視覚野の中でも特に視野の継ぎ目を受け持つ部位に挿入し、複数の神経細胞の活動を同時記録した。この手法により、視野内の同一の場所を受け持つ細胞同士の反応特性の関係が、異なる場所を受け持つ細胞同士の反応特性の関係とどのように異なるかを調べた。また、脳梁結合を伝わる神経信号がどのような情報を担っているかを調べるために、視交差を切断したネコの初期視覚野において、両眼性細胞の特性を調べた。さらに、人における心理物理学実験によって、脳梁を介した視覚情報処理にかかる追加の処理時間の知覚的効果を調べる実験を行った。この実験のためのソフトウエア開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の実験からのデータがほぼ十分集まってきており、データの解析も進行中である。結果の取りまとめと論文執筆を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
人における心理物理学実験は、当初の計画では予定していなかったが、意義の深い実験を考案したため、脳梁の機能に関するヒトでの実験も進行中である。電気生理学実験も行いながら、結果の取りまとめと論文執筆を最終年度である平成24年度におこなう。
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