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2010 年度 実績報告書

シナプス小胞グルタミン酸再充填の動作原理と動的特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22300111
研究機関同志社大学

研究代表者

高森 茂雄  同志社大学, 生命医科学部, 教授 (10397002)

研究分担者 桂林 秀太郎  福岡大学, 薬学部, 助教 (50435145)
キーワード神経科学 / 生理学 / 蛋白質 / 脳・神経 / シグナル伝達
研究概要

哺乳類中枢神経系の主要な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸のシナプス小胞への輸送は、小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGLUT)によって行われており、塩素イオンによって修飾されるが、その作用点とメカニズムは明らかになっていない。また、シナプス小胞にはCl-チャネルが存在しているが、その分子実体は不明である。
近年、我々は、pH勾配感受性蛍光色素を用いた小胞内酸性化測定法を用いて、VGLUT1がCl-透過性を持つ可能性を提唱した。しかしながら、本測定法はCl-動態を直接測定していない点で改良が望まれた。そこで、トランスポーター活性を電流値として測定可能な実験装置を導入し、VGLUTのCl-透過性の実証と定量的解析法を開発した。測定の結果、シナプス小胞・VGLUT1リポソームの双方において、ATP存在下でH+の流入を示唆する外向き電流と、Cl-の流入を示唆する内向き電流が観測された。興味深いことに、Cl-電流はプロトンポンプ非存在下でも観察されたことから、Cl-透過性はVGLUT1固有の性質であること、VGILUT1を介したCl-流入にはH+勾配が不要であること等が明らかになった。
また、我々のVGLUT1リポソームのグルタミン酸輸送活性の測定系では、小胞内に高濃度のCl-が存在すると小胞へのグルタミン酸輸送活性が促進することが示唆された。このモデルをシナプスで検証する為に、マウス海馬由来オータプス神経培養細胞を用いて、エンドサイトーシスによって小胞内に取り込まれる細胞外液中のCl-濃度を変化させ、興奮性後シナプス電流EPSCに対する影響を検討した。その結果、細胞外液中のCl-が低いと、プロトンポンプの阻害剤であるバフィロマイシン存在下と類似したEPSCの減衰が見られた。従って、細胞外液中の陰イオン組成がグルタミン酸のシナプス小胞への輸送活性を制御していることが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The Physiological roles of vesicular GABA transporter during embryonic development : a study using knockout mice.2010

    • 著者名/発表者名
      Saito K, Kakizaki T, Hayashi R, Nishimaru H, Furukawa T, Nakazato Y, Takamori S, Ebihara S, Uematsu M, Mishina M, Miyazaki J, Yokoyama M, Konishi S, Inoue K, Fukuda A, Fukumoto M, Nakamura K, Obata K, Yanagawa Y.
    • 雑誌名

      Molecular Brain

      巻: 3:40 ページ: 1-13

    • 査読あり
  • [学会発表] Regulation of glutamate uptake into synaptic vesicles by chloride.2010

    • 著者名/発表者名
      Takamori S.
    • 学会等名
      Kyoto University GCOE symposium "Biomembrane and Channels"
    • 発表場所
      京都センチュリーホテル、京都
    • 年月日
      2010-12-10
  • [学会発表] Regulation of glutamate transport into synaptic vesicles by chloride.2010

    • 著者名/発表者名
      Takamori S.
    • 学会等名
      Biennial Meeting of the Asia-Pacific Society for Neurochemistry 2010
    • 発表場所
      Phurket Graceland Resort & Spa, Thailand
    • 年月日
      2010-10-20
  • [学会発表] A chloride conductance in the vesicular glutamate transporters.2010

    • 著者名/発表者名
      Takamori S.
    • 学会等名
      Gordon Research Conference
    • 発表場所
      University of New England, Maine, U.S.A.
    • 年月日
      2010-08-18
  • [学会発表] Mechanism of glutamate transport into synaptic vesicles.2010

    • 著者名/発表者名
      Takamori S.
    • 学会等名
      日本生理学会
    • 発表場所
      盛岡市民文化ホール、岩手
    • 年月日
      2010-05-19
  • [図書] トランスポートソームの世界(4-2-6 グルタミン酸性シナプス小胞のトランスポートソーム)(金井好克, ほか編著)2011

    • 著者名/発表者名
      高森茂雄
    • 総ページ数
      335-343
    • 出版者
      廣川書店

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公開日: 2012-07-19  

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