研究課題
ADPリボシル化因子6(Arf6)は、形質膜のリサイクリングや細胞骨格の制御を介して多彩な神経機能に深く関与する低分子量G蛋白質で、その活性化はグアニンヌクレオチド交換因子により厳密に制御されている。本研究は、抑制性シナプスにおけるArf6経路の機能的な役割を明らかにすることを目的として、本年度はBRAG (brefeldin A-resistant ArfGEF)ファミリーに属するsynArfGEFに着目して発現解析を行った。その結果、synArfGEF6がGGA1を用いたArfプルダウン法によりArf6に対するグアニンヌクレオチド交換能を有することを見出した。また,特異抗体を作製し免疫組織学的な解析を行った結果、synArfGEFは、細胞体や樹状突起に沿った抑制性シナプスの後膜に特異的に局在することを明らかになった。次にsynArfGEFの抑制性シナプスへの局在機構を明らかにする目的で、酵母ツーハイブリット法より脳cDNAライブラリーをスクリーニングし、synArfGEFの結合蛋白質の同定を試みた。その結果、抑制性シナプスに局在することが知られているdystrophin分子と結合することを明らかにした。さらに、synArfGEFのC末端PDZ結合モチーフを介して抑制性シナプスに局在する足場蛋白質であるS-SCAM/MAGI-2のPDZドメインと結合することを見出した。以上の結果より、synArfGEFが、dystrophinやS-SCAM/MAGI-2などの足場蛋白質との結合を介して抑制性シナプス後膜に局在し、Arf6の活性化因子として抑制性シナプス機能を制御する可能性を提示した。本研究成果は、J. Neurochemistryに受理された(2011年印刷中)。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Journal of Neurochemistry
巻: (印刷中)
International Orthopaedics
巻: 35 ページ: 867-873
Neurosci.Research
巻: 67 ページ: 126-136
PLoS ONE
巻: 5 ページ: e9460
EMBO Journal
巻: 29 ページ: 1499-1509
Journal of Biological Chemistry
巻: 285 ページ: 32734-32743
Biochem Journal
巻: 43 ページ: 81-91
Dev.Growth Differ.
巻: 52 ページ: 657-663
J Pharmacol Sci.
巻: 112 ページ: 167-175
American Journal of Pathology
巻: 176 ページ: 1469-1483
Biomed Pharmacotherapy
巻: 64 ページ: 101-106
巻: 34 ページ: 695-702
http://www.med.kitasato-u.ac.jp/~sakagami/