研究概要 |
1.末梢神経障害後の脊髄マイクログリアにおけるPAF(platelet-activating factor)合成酵素及びその受容体の増加末梢神経損傷モデルを用いて、PAF合成酵素であるLPCAT2が活性化マイクログリアにて産生増加することを、RT-PCR及び二重染色in situハイブリダイゼーション法にて発見した。さらにその受容体であるPAFrが同様にマイクログリアで増加し、PAFr阻害剤の投与で疼痛過敏が抑制されることが明らかとなった。末梢神経障害後に脊髄マイクログリアでPAF-PAFrシグナリングが神経障害性疼痛に関与していることをMolecular Painに発表した。 2.神経障害性疼痛モデルにおける脊髄でのP2Y6,13,14受容体の発現解析と、それぞれ特異的なantisense、阻害剤の投与後の疼痛行動の変化の解析をこの2年間行ってきた。以下の所見が得られて論文を投稿して、現在revisionのための追加実験中である。 1)半定量的RT-PCR法を用いてP2Y6,13,14mRNA発現量の変化を測定したところ、それぞれ特異的な時間的変化を示す発現増加が観察された。 2)マイクログリアにおいてP2Y6,13,14mRNAシグナルが増加しており、細胞がマイクログリアであることは免疫二重染色法を用いて確認した。 3)術側ではP2Y14 AS-ODN投与群とMM ODNの2群間は統計学的に有意差があり、手術後5-7日でantisense群で機械的刺激、温度刺激に対する過敏反応の抑制が観察された。 4)p38阻害剤であるSB203580投与群ではP2Y14 mRNAの発現が抑制されていた。 5)P2Y6,12,13の阻害剤を同時投与すると、単体投与よりも疼痛行動の抑制が長時間継続した。
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