研究課題
孤発性筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の発症メカニズムを蛋白合成系から解明する目的で、ALSにほぼ選択的に出現するBunina小体(構成成分:シスタチンC)と蛋白合成系の分子シャペロン(KDEL配列)との連関を腰髄前角細胞で免疫組織学的に検討した。対照では、シスタチンC、KDELともに0.1 - 0.2ミクロン大の微細顆粒状で、これらの半数程度が共局在して見えた。ALSではKDELは0.1 - 0.2ミクロン大のものから2ミクロン程度の凝集体まで認められ、比較的大型の凝集塊の多くのものの内部に微細なシスタチンCを容れていた。一方ALSの前角細胞ではシスタチンCは減少し、残存シスタチンCでは0.2ミクロン大の顆粒から2ミクロン大の塊まで認められ、0.2ミクロン大の顆粒の半数程度がKDELと共染した。2ミクロン大の大型の塊はブニナ小体と考えられ、その半数程度がKDEL陽性の微細顆粒を容れていた。シスタチンCおよびKDELの大型の凝集体で、相互にKDELとシスタチンCが微細な顆粒として存在していたことは、KDELとシスタチンCが、Bunina小体形成とKDEL凝集体の相互のseedである可能性を示唆する。ALSにほぼ特異的に出現するBunina小体の構成成分と蛋白合成系との直接的な関連が認められ、ALS運動ニューロンで生じる蛋白合成障害にBunina小体の構成成分が関与していることが示唆された。遺伝性ALSの一家系でFUS遺伝子のP525L変異を発見し、その姉妹の剖検所見で脊髄、脳幹のみならず前頭葉、基底核、小脳の萎縮を認め、それがFUS陽性封入体の出現と直接には関連していない事を見出した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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