ニューロン電位活動の光学的測定法は、膜電位感受性色素で標本を染色し、膜電位変化に応じてその色素が示す吸光や蛍光の変化を光学的に計測するものである。組織標本で活動電位やシナプス後電位などの速い時間経過の電位変化を測定する際には、通常fast-response dyeと呼ばれる膜電位感受性色素が用いられるが、この色素は、シグナルが背景光の10^<-4>~10^<-3>程度と非常に小さく、single cellレベルでの応答を加算なしに検出するのはほとんど不可能であった。本研究は、新しいoxonol系色素を用いた細胞膜電位イメージング法を開発し、ニューロン電位活動の光学的計測法と中枢神経系の機能的システム解析に新機軸をもたらすことを目的とする。 本年度は、時間分解能および空間分解能に優れたイメージングデバイスを導入し、システムを立ち上げることを主軸に研究を進めた。イメージングデバイスとして、当初NeuroCMOS(RedShirtImaging)を検討していたが、NeuroCMOSを含む数種類のデバイス(浜松フォトニクス社:EM-CCDおよびImagEM、Andor社:EM-CCD)について、Ca green 1-AMおよび膜電位感受性色素NK2761で染色した鶏胚脳幹における脱分極波を指標にデモ機のテストを行い、感度やsignal-to-noise ratio、ソフトウェアなどの性能から、最終的にAndor社のEM-CCDを採用することとした。
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