研究課題
ニューロン電位活動の光学的測定において、組織標本で活動電位やシナプス後電位などの速い時間経過の電位変化を測定する際には、通常fast-response dyeと呼ばれる膜電位感受性色素が用いられる。この色素は、シグナルが背景光の10-4~10-3程度と非常に小さく、single cellレベルでの応答を加算なしに検出するのはほとんど不可能であった。本研究は、新しいoxonol系色素を用いた細胞膜電位イメージング法を開発し、ニューロン電位活動の光学的計測法と中枢神経系の機能的システム解析に新機軸をもたらすことを目的とする。本年度は、以下の手順で解析を行った。(1) 染色時間と染色後の待ち時間の検討:色素を含む灌流液に置換後、どのくらいの時間で染色が安定するかを調べたところ、最低でも15分の染色が必要であることがわかった。灌流液に色素を含まない状態で測定を行う場合には、色素を含まない液に置換後さらに30分~1時間の待ち時間を要することが明らかとなった。ベースラインの安定性と色素のメカニズムを考慮すると、色素を含む溶液中で測定を行う方がベターであると考えられた。(2) 光学的シグナルの定量性の解析:色素の蛍光変化と膜電位変化が直線関係にあるかどうかを調べるために、外液 [K+]が1mM, 10mM, 20mM, 30mM, 50mMの条件下で測定を行った。測定結果から、蛍光変化は膜電位変化とほぼ直線関係にあり、脱分極応答のみならず過分極応答もモニターできることが示された。
2: おおむね順調に進展している
研究はスケジュールにそって順調に進んでいる。
染色濃度など分離細胞での測定条件をつめ、機能解析に応用させる。
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Neuroscience Letters
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