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2011 年度 実績報告書

ヒト側頭葉における長期記憶痕跡の形成機構および記憶想起メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22300134
研究機関東京大学

研究代表者

小西 清貴  東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90323609)

キーワード高次脳機能計測
研究概要

長期記憶は、記憶内容が海馬に入力された後、しばらく時間を経てから、側頭葉新皮質内に固定され、記憶痕跡が形成されると考えられている。しかし、その記憶痕跡がどのようにして形成されるのか、また、この記憶痕跡が記憶の想起においてどのような役割を果たすのかについては、ほとんど解明されていない。この研究は、ヒト側頭葉内における長期記憶痕跡の形成機構、および、その記憶痕跡の記憶想起メカニズムに対する役割を解明することを目的とする。
今年度は、記憶課題の最適条件を決定し、MRIスキャンによるデータの取得および解析を開始した。AとBというペアをトレーニングにより憶えたのち、AをみてBを想起する、という対連合記憶課題を用いた。2カ月以上前のトレーニングにより形成された古い記憶痕跡と、30分程度前に形成された新しい記憶痕跡を比較した。使用する視覚刺激を顔と建物の2種類とした。この2種類の視覚対象は、情報処理を担当する感覚野が、それぞれFFAとPPAという別の領域に分かれていることが知られており、顔と建物の想起という2条件間で比較することに適している。また、脳活動の領野間の相互作用を個々の被験者ごとで調べるために、1条件あたり30ペアに増やし、十分な自由度で計算した。3テスラMRIでデータ取得を開始した。現在までの解析の結果、顔と建物に共通の記憶痕跡が側頭葉前部にあり、顔と建物それぞれ別の記憶痕跡が側頭葉後部にあることが分かった。これは、顔と建物に共通の痕跡と、顔と建物を別にコードする痕跡が、それぞれ側頭葉の前方と後方領域に分かれて存在することを示した知見であり、これらの領域がどのように相互作用して記憶を取り出すかを解明する手掛かりとなることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

微小脳領域の境界描出法の開発、記憶課題の最適なデザインの決定、MRIスキャンによるデータ取得とデータ解析の開始など、計画が概ね予定通り進んでおり、来年度の研究計画へ変更なく移行できると考えられるから。

今後の研究の推進方策

今後、記憶課題のMRIデータをさらに解析し、領域間の相互作用を明らかにすることで、側頭葉内のどのような神経機構が記憶の想起に関わっているかを解明する。また、睡眠中の脳波と記憶痕跡形成の関係や、微小脳領域の境界描出法を用いて側頭葉内の機能領域構造を調べることにより、記憶の形成と想起の神経機構を統合的に理解すべく研究を進め、研究成果をまとめる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Prediction of future recognition performance using brain activity in the medial temporal lobe2011

    • 著者名/発表者名
      Watanabe T., Hirose S., Katsura M., Imai Y., Chikazoe J., Kimura H. M., Jimura K., Machida T., Shirouzu I., Miyashita Y., Konishi S
    • 雑誌名

      Neuroimage

      巻: 54 ページ: 3085-3092

    • DOI

      10.1016/j.neuroimage.2010.10.066

    • 査読あり
  • [学会発表] Functional areas in human inferior frontal cortex as revealed by combination of resting-state functional connectivity and high-resolution fMRI2011

    • 著者名/発表者名
      Hirose S, et al.
    • 学会等名
      Society for Neuroscience
    • 発表場所
      Washington DC, USA
    • 年月日
      2011-11-16
  • [学会発表] Functional areas in the inferior frontal cortex based on brain activity and functional connectivity2011

    • 著者名/発表者名
      Konishi S
    • 学会等名
      The Japan Neuroscience Society
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、神奈川県
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] Role of amygdala in retrograde memory enhancement induced by emotional arousal2011

    • 著者名/発表者名
      Chikazoe J, et al.
    • 学会等名
      The Japan Neuroscience Society
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、神奈川県
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] Prediction of future memory cognition by multivariate pattern analysis2011

    • 著者名/発表者名
      Watanabe T, et al.
    • 学会等名
      Association for the Scientific Study of Consciousness
    • 発表場所
      京都大学百周年時計台記念館京都府
    • 年月日
      2011-06-11
  • [学会発表] 記憶の貯蔵庫:側頭葉2011

    • 著者名/発表者名
      小西清貴
    • 学会等名
      日本医学放射線学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、神奈川県(招待講演)
    • 年月日
      2011-04-09

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公開日: 2013-06-26  

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