研究概要 |
平成24年度から25年度の代表的な研究成果として2つをあげる。 痛みに関しては、最近我々が新たに開発した新しい電気刺激法を用いた刺激によって研究を行う事を本年度の研究目標としていた。研究は順調に進み、世界で初めて、電気刺激法を用いて末梢神経C線維を選択的に刺激する事に成功した(Kodaira, Kakigi et al. 2014)。これにより、糖尿病による末梢神経障害のように、小径線維が選択的に障害される疾患の生理学的解析が可能となる画期的な成果であった。 痒みに関しては、他人の皮膚が痒そうに見える時や他人が実際に掻いている時に、思わず自分も痒くなる現象(痒みの伝染効果)の脳内メカニズムを、機能的MRIを用いて世界で初めて明らかにした(Mochizuki, Kakigi et al. 2013)。痒み画像を見た時には、中脳と基底核の活動が増加し、その活動は島回と高い相関関係を有する事を明らかにした。痒い部分を掻くと快感を覚える。しかし、なぜ気持ちが良いのかは今まで明らかになっていなかった。その脳内メカニズムを、機能的MRIを用いて世界で初めて明らかにした(Mochizuki, Kakigi et al. 2014)。痒いところを掻いて快感を覚える場合には、痒くないところを掻いて全く快感を覚えないときに比べて、「報酬系(快感中枢)」と考えられている線条核と中脳が活動する事を明らかにした。また運動に関連する部位の活動も増していた。「快感中枢が活動し」、「掻くという運動に結びつく」メカニズムを明らかにした。
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