研究課題/領域番号 |
22300138
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
設樂 宗孝 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10357189)
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研究分担者 |
肥後 範行 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (80357839)
松本 有央 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (00392663)
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キーワード | 報酬系 / 行動決定 / 労働負荷 / 自己選択効果 / アカゲザル |
研究概要 |
報酬獲得のための行動決定を調べるために、報酬までの労働負荷と報酬量の組み合わせを選択する行動決定課題をトレーニングしたサルを用いて課題の誤答率を詳細に検討した。この課題では、4段階の報酬量と4段階の仕事量を組み合わせた16通りから、その内の2つを選択肢として呈示し、選択を行わせる。選択はモンキーチェア内に装備した左右のバーの内いずれかを握ることで行う。仕事としては視覚弁別試行(画面に表示される視覚刺激の色が赤から緑に変わったら、モンキーチェア内の中央バーから1秒以内に手を離す)を複数回行わせることとし、その回数が労働負荷量となる。労働負荷と報酬量の組み合わせは、全部で16通りあり、労働負荷はパターン刺激の長さによって、報酬量はパターン刺激の明るさによって表す。この16通りから2つを選ぶ組み合わせは全部で120通りある。様々な選択肢の組み合わせを用いたときの行動決定の結果を報酬割引モデルによってフィッティングすると、指数関数を使った割引モデルによってよくフィットできた。また、行動決定を行った場合とコンピューターにより与えられた場合のスケジュール課題の課題の誤答率を報酬割引モデルによってフィッティングすると、行動決定を行った場合の方が報酬量にかかる定数項および割引率の両者とも大きいことがわかり、これらによって、課題の誤答率が低いという自己選択効果が現れていることが示唆された。次に、行動決定課題遂行時のニューロン活動を調べるために、眼窩前頭皮質を中心に前頭前野から単一ニューロン活動を記録するための手術を行い、行動決定の際に反応するニューロンが記録されつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大震災の直後、実験を一時中止せざるを得ない状況であったが、その後状態を復帰することができ、行動決定の行動実験は順調に進んだ。ニューロン活動の記録実験も、頭部手術を行って記録を開始したので、今後データが蓄積してくるはずである。
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今後の研究の推進方策 |
行動決定課題中のサルの眼窩前頭皮質よりニューロン活動を記録し始めており、今後このニューロンデータを蓄積して行動決定における役割を探っていく。
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