研究課題
報酬獲得のための行動決定を調べるために、報酬までの労働負荷と報酬量の組み合わせを選択する行動決定課題をトレーニングしたサルを用いて課題の誤答率を検討した。この課題では、4段階の報酬量と4段階の仕事量を組み合わせた16通りから、その内の2つを選択肢として呈示し、選択を行わせる。選択はモンキーチェア内に装備した左右のバーの内いずれかを握ることで行う。仕事としては視覚弁別試行(画面に表示される視覚刺激の色が赤から緑に変わったら、モンキーチェア内の中央バーから1秒以内に手を離す)を複数回行わせることとし、その回数が労働負荷量となる。労働負荷と報酬量の組み合わせは、全部で16通りあり、この16通りから2つを選ぶ組み合わせは全部で120通りある。様々な選択肢の組み合わせを用いたときの行動決定の結果を報酬割引モデルによってフィッティングすると、指数関数を使った割引モデルによってよくフィットできた。そこで、行動決定課題遂行時のニューロン活動を調べるために、眼窩前頭皮質から単一ニューロン活動を記録し、行動決定の際に報酬価値と相関した反応を示すニューロンがあるかどうかを解析した。その結果、2つの選択肢の報酬価値の差に比例した反応を示すニューロン群と、報酬価値の差が無いときに最もよく反応するニューロン群が存在することが明らかになった。一方、報酬系の行動決定に影響を与えうる因子としてのセロトニンニューロンの働きを調べるため、背側縫線核のニューロンが報酬スケジュール課題遂行時にどのような報酬情報のコーディングをしているかを解析した。その結果、背側縫線核では、スケジュールの初めにはスケジュール開始情報、スケジュールの後半には報酬情報をコードするものが多いこと、しかもニューロン反応の時間変化の成分に情報があることが明らかになった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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