研究課題
(1)β4GalT-2欠損マウス及びHNK-1糖鎖合成を担うGlcAT-P欠損マウスの解析この2つのマウスに対して他個体に対する社会性行動とプレパルス抑制(PPI)テストを行なった。新奇個体に対する探索行動の増加と注意機能の障害が見られ,次年度は薬理学的・組織学的解析を進める。(2)神経系特異的なβ4GalT-5欠損マウスの解析β4GalT-5floxマウスとNestin-Creマウスを交配してB6背例景の神経系特異的なβ4GalT-5欠損マウスを作製した。発達期の脳におけるβ4GalT-5の発現は出生直後が最も高く成体;期では減少したが,神経系特異的なβ4GalT-5欠損マウスの出生直後の脳では野生型の10%程度にβ4GalT-5の発現が消失していた。テストバッテリー方式の行動実験を実施したところ,このマウスは,1)ホームケージ活動量の顕著な低下,2)オープンフィールドテストでの高活動性,3)PPIテストでの注意機能の障害が見られ,注意機能の障害に基づく新奇環境での高活動性が示唆された。今後は脳における糖脂質の合成と後述するβ4GalT-6との関連を明らかにする。(3)新たな糖転移酵素欠損マウスの導入β4GalT-5はラクトシルセラミド合成酵素であることを明らかにしたが(Nishie et al., Glycobiology, 2010),β4GalT-6も同じ活性を持つことが報告されているので,β4Ga1T-6欠損マウスを名大の古川先生から分与していただき,脳神経系でのスフィンゴ糖脂質の役割を明らかにする。また,コンドロイチン硫酸鎖の脳神経系での役割を明らかにするために,C6ST-1Tgマウスを神戸薬科大の北川先生から分与していただき,テストバッテリー方式の行動実験を行なう。
2: おおむね順調に進展している
行動実験をほぼ終了し,組織学的・生化学的解析を進めて高次脳機能における糖鎖の役割を解析する。
当初予定していなかったβ4GalT-6欠損マウスとC6ST-1 Tgマウスを導入してより幅の広い研究を展開すると同時に,あまり顕著な異常が見られなかったGNE点変異マウスは解析の対象から外すことにした。
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