研究課題/領域番号 |
22300151
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮川 道夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50239357)
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研究分担者 |
山田 幸生 電気通信大学, 情報理工学部, 教授 (10334583)
谷川 ゆかり 産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (20344202)
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キーワード | 筋活動イメージング / 前腕運動負荷 / マイクロ波CT / 糖代謝 / 腫瘍 / 光拡散イメージング / 酸素代謝 / 腫瘍イメージング |
研究概要 |
臨床評価に焦点を当てたシステムの改良に関し、計測時間短縮を一時断念する代わりにシンセサイザ導入によらず信号処理だけでダイナミックレンジ拡大と精度向上が達成できることを示した。 筋活動動態の可視化に向けた本研究ではマイクロ波断層画像で観測される濃度変化の原因を同定することが中心課題の一つである。昨年度のサーもカメラによる筋活動に伴う表面筋の局所的温度上昇性観測結果を受けて、今年度は筋電図でも実際に前腕筋が局所的に活性化していることを確認した。また、グリッピング負荷などによる糖代謝負荷の曖昧さを避けるため、低周波治療器による電流刺激(EMS)による他動的筋収縮で数時間継続するとされる糖代謝の活性化状態を本研究における「運動負荷状態」として活用する可能性を実験により示した。今後は、この電流負荷による糖代謝変化を基本として実験を行うこととした。 光拡散イメージングの酸素代謝画像を実際の腕の形状に合わせた状態で求めるという課題では、元々安定に解を得られる条件が極めてシビアなため、逆解を求める段階で前腕形状を実際の形状とするのではなく、従来通り円形断面として酸素代謝画像の解を求め、得られた円形断面の酸素代謝画像を予めMRI画像ベースで得た尺骨と橈骨の位置座標を手がかりにヒューリスティックなレジストレーションにより実際の前腕形状に合わせることとした。 早期乳がんの高忠実度物理モデルを開発し、実験的により、この最適撮像法を求めた。ボーラスとしては濃度0.57%の食塩水が最も適切であり、直径20mmの球状腫瘍を極めて鮮明に描画できることを実証した。この成果画像は世界的な研究の現状に照らしても、非常に高い評価を得ることができると判断される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光拡散イメージングで、前腕形状を実際の形態として逆問題を解くことは事実上できなかったものの、装置技術開発では新たなハードウエア追加なしに目的を達成でき、筋肉中で安定的に糖代謝を一定に維持する方法を見い出し、これまでの文献では最も効果的といえる早期乳がんのCT画像取得方法を開発できた。
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今後の研究の推進方策 |
商品としてのマイクロ波イメージング装置を開発する訳ではないので、装置技術的にはほぼ研究は完成した。筋活動によってマイクロ波CT画像中に起こる濃度分布の変化を糖代謝、あるいは他の物理・化学的パラメータと関連づけすることが目標であり、引き続き、濃度変化と酸素代謝との関係を調べつつ、糖代謝変化との定量的相関を実験的に究明する予定である。
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