研究課題/領域番号 |
22300152
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 真人 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (90301803)
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研究分担者 |
堀江 三喜男 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (00126327)
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キーワード | バイオファブリケーション / 機械の手 / 工場生産 / バイオリアクター / 組織パーツ / 毛細血管 / 転写技術 / 印刷技術 |
研究概要 |
臓器は、細胞、タンパク質を最小単位として、毛細血管や筋線維、上皮組織、さらに大きな器官となり、最終的に臓器を形成する。すなわち、様々なパーツが階層的に構築・構成された構造物である。そこで、このような臓器を作り出すのに、細胞というミクロのパーツを積み上げてマクロの臓器を作りあげるアプローチがある。それを実現するには、『機械の手』の開発が必要である。しかも、臓器を作製するには、多くの工程が必要で、その過程ごとに作業を担当するさまざまな特殊な『機械の手』が必要となる。従って、何種類もの機械がいくつもの工程を担当しつつ一つの製品を作り上げていく『工場生産』的な発想が臓器を作製するには必要となる。それが 『in factory Tissue Engineering』である。本研究は、以下の3テーマを重要工程・重要技術と位置づけて、取り組んだ。 (1)細胞組織パーツの作製技術:組織パーツを作る「機械の手」として開発してきたインクジェット式3Dバイオプリンターのバージョンアップを図った。それにより、複雑な構造物作製を試み、これまでできなかった構造物を作製できるようになった。 (2)パーツ組み立て実装技術:パターニング技術を利用し、血管に加えて筋細胞によるパターニング実験を行った。筋ファイバーを作成することに成功した。 (3)育成・組織化を制御する技術:細胞を培養・育成するマイクロ流路を用いた「バイオリアクター」を設計し、作製に取り掛かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インクジェット式3Dプリンターのバージョンアップ、転写印刷技術の応用を進めてきた。ほぼ順調に進んでいる。また、『in factory Tissue Engineering』に必要な機械の手の技術として、インクジェット技術の他に、いろいろな印刷技術が生産技術として役立つと推察し、他の印刷技術の利用ができるように技術の習得を開始した。また、再生医療の発展にはこれらの装置技術がきわめて重要であることを、ますます確信を深めた。加えて、この様な生産技術は、これから日本の再生医療を支える立場になり、重要度が増すと想定される。装置の研究開発と実用化、普及につなげること重要であると考え、製品化を担う企業の参入、産学連携を探っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
このように、印刷技術は生産技術として、これからの再生医療の発展には欠かせない技術となることが実感できるようになった。また、この様な研究を通して、様々な可能性のある技術が見つかって来たとしても、実用化につながらねば、社会の発展に貢献できない。今後産学連携を進めて、企業を巻き込んだ研究に発展させて、装置開発につなげていく計画である。
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