研究課題/領域番号 |
22300173
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
青柳 隆夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, コーディネーター (40277132)
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研究分担者 |
荏原 充宏 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (10452393)
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キーワード | 温度応答性 / コアセルベート / 相分離挙動 / 相転移挙動 / ハイドロゲル / 水和現象 / 脱水和現象 |
研究概要 |
昨年度までに、水酸基を有する2-ヒドロキシイソプロピルアクリルアミド(HIPAAm)及びカルボキシル基を有する2-カルボキシイソプロピルアクリルアミド(CIPAAm)をそれぞれNIPAAmとフリーラジカル共重合することで、それぞれ水酸基やカルボキシル基含量のことなるコアセルベート形成ポリマーを調製した。本年度は、超常磁性のナノ粒子を湿式法により調製した。この材料は、反応の過程で、オレイン酸と結合して安定化している。先に調製したポリマーを用いて、この酸化鉄ナノ粒子をリガンド交換反応によって表面修飾した。コアセルベート形成ポリマーと、この表面修飾粒子を均一に分散させ、昇温することにより複合型コアセルベートを形成させることに成功した。さらに、得られたコアセルベートの水中での分散性、および永久磁石を近づけたときのコアセルベートの移動に関して予備的な実験を遂行した。コントロールとして用いた、クエン酸を分散剤とした場合は、その分散性が悪く、分離する傾向を示した。一方、コアセルベート形成ポリマーを分散剤として用いると、分散安定性は大変高く、またほとんどすべてのコアセルベートが磁石に引きつけられた。すなわちクエン酸で分散させた場合、磁石を引きつけた後でも、余上には濁っていた。しかしポリマーを分散剤に用いた時は、完全に透明になっていた。 コアセルベートを反応の輸送担体への応用するのに好適であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コアセルベートの安定な形成と、磁性微粒子を取り込みに関して、予定通りの成果が得られている。また、一般に用いられているクエン酸を用いる系と比較して、極めて安定に振る舞うことを確認できた。今後予定通り、バイオ分子との相互作用や取り込みを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに構築された複合型コアセルベートの機能性分子が、その存在分布を刺激によって実際に制御可能であるかを確認するため、蛍光ラベル化した機能性分子を固定化して存在分布の解析を行う。刺激による機能性分子の分布制御が認められたら、実際に刺激を与えた際の分子の結合挙動を評価する。分子スイッチングシステム及び分離システムのON-OFF制御を実現させ、磁場誘導特性を付与することで本システムの効率性の向上化を図る。
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