研究課題
皮膚のエイジングによるたるみやシワには、真皮におけるコラーゲンの量や質の変化が大きく関わっている。したがって、皮膚のスマート・エイジング評価には、表皮と真皮を判別しうる解像度で真皮の弾性を非侵襲的に計測する方法の開発が必要である。本研究では、音響放射圧によって皮膚組織に微小なひずみを発生させ、組織の変位を中心周波数120 MHzの高周波数超音波の位相差トラッキングによりナノレベルの解像度で定量解析することで、真皮の弾性計測法を確立することを研究目的とした。直径5 cmの半球状のPZT製超音波振動子(中心周波数1 MHz)の中央に直径5 mmの穴をあけたものを音響放射圧発生用のアプリケータとし、中央の穴に中心周波数100 MHzのPVDF製超音波振動子を同軸に通して微小変位の測定を行った。微小振動取得用振動子には2000 Hzで50 Vppの電気信号を印加し高速デジタイザカードにより信号を取得した。高周波数超音波128パルスに1回25 Vppで7波のバースト波を発生させ音響放射圧とした。人工皮膚のBモード像、Mモード像、1ラインの速度変化を示すことにより、Bモード像では1層目: 強化フィルム層、2層目: 補強メッシュ層、3層目: スポンジ層が観察された。高周波数超音波の位相差解析により、音響放射圧による人工皮膚の振動計測を行い、レーザードップラー法にてその精度を検証した。さらに、得られた時間-変位カーブにVoigtモデルを適用し、組織の粘弾性を算出した。3層構造を有する人工皮膚組織では、補強メッシュ層では弾性が高く、スポンジ層では相対的に弾性が低く粘性が高いことが示された。本手法による真皮の粘弾性計測は、臨床皮膚科学および化粧品や美容施術の効果判定に有用であることが示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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