研究課題
本年度は以下の項目について取り組んだ。(1) 水中に超音波を照射した際に生じるOHラジカルの生成量について、超音波強度と周波数(100~1000kHz)の影響を検討した。低エネルギー領域(0~3W)では300kHz、高エネルギー領域(4~6W)では1000kHzで最もOHラジカルの生成量が多いという結果が得られた。また100kHzでは、超音波エネルギーの高低に関係なく、OHラジカルの生成量は少なかった。(2) ヒト肝がん細胞であるHepG2細胞を特異的に認識するDNAアプタマーの獲得を目的としてCell-SELEX法によりDNAアプタマーの選抜を行った。Cell-SELEXを11Round、正常ヒト肝細胞によるカウンターセレクションを4回行うことで、HepG2細胞を特異的に認識するDNAアプタマーの候補を選抜し、その塩基配列を決定した。二次構造により6種類に分類し、その内の5種類について機能評価を行った。その結果HepG2細胞を特異的に認識するDNAアプタマーを得ることができた。獲得したDNAアプタマーについて、モデル肝がん細胞HepG2に対する結合能を評価した結果、そのK_dは約10^<-8>Mであった。(3) リポソームからの薬剤放出を制御する外部刺激として超音波を、リポソームを腫瘍部位に集積させるがん細胞認識分子として、DNAアプタマー、あるいは葉酸(Fohc acid)を用いた新規リポソームの構築を行った。温度感受性高分子(2C_<12>-poly (NIPMAM-co-NIPAM)修飾リボソームは、超音波照射により高効率で内包物を放出した。アプタマー修飾リポソームのがん細胞への結合は確認できなかったが、この原因として、アプタマーの添加量が少なかったことが考えられる。一方、葉酸-温度感受性高分子修飾リポソームのがん細胞への有意な結合が確認できた。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)
Bioorg. Med.Chem.Lett.
巻: 20 ページ: 5320-5325
超音波テクノ
巻: 22 ページ: 1-5