研究課題/領域番号 |
22300178
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
玄 丞烋 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (90283655)
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研究分担者 |
松村 和明 京都大学, 再生医科学研究所, 研究員 (00432328)
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キーワード | 幹細胞 / 凍害防止保存液 / ε-ポリ-L-リジン(PLL) / カルボキシル化ポリリジン / 氷の再結晶化抑制効果 / iPS細胞 / ガラス化凍結保存 |
研究概要 |
毒性の高いジメチルスルホキシド(DMSO)に代わる新しい凍害防御剤の開発を試みた。食品添加物として広く使用されているε-ポリ-L-リジン(PLL)のアミノ基を一部無水コハク酸と反応させることにより、両性高分子電解質を合成した。このカルボキシル化ポリリジン(COOH-PLL)は、カルボキシル基の導入率に応じてそれ単体で細胞の凍害防御効果を示すことを明らかにした。これはヒト間葉系幹細胞を含むその他多数の細胞に対しても同様に起こり、DMSOに代わる新規な細胞毒性の低い凍害防御剤として有用であった。この保存剤を用いて間葉系幹細胞などの体制幹細胞は容易に凍結保存可能であったが、霊長類ESやヒトのiPS細胞のコロニーを緩慢凍結法にて凍結することはDMSOなどの通常の凍害防御剤と同様困難であった。 そこで、上記COOH-PLLの氷の再結晶化抑制効果を利用して、ガラス化液のガラス状態の安定化を試みた。まず分化に影響を及ぼすとされるDMSOと発ガン性のあるアセトアミドを使用(DAP213)せず、畜産業界や生殖医療現場で良く用いられているエチレングリコール(EG)とスクロースの組み合わせによりガラス化液を調整した。これは200μLという液量でもガラス化が可能であった。そこにPLL(0.65)を10%添加したものを同時に作成し、既存のDAP213とヒトiPS細胞のガラス化凍結保存について比較検討した。ヒトiPS細胞をガラス化保存し、解凍後のコロニー接着率と培養4日目の細胞数を凍結しなかった系と比較したところ、明らかにDAP213や、EGおよびスクロースのみの系に比べ、PLL(0.65)を添加することで有意に高い値が得られることが確認できた。また、解凍後の培養においてもアルカリフォスファターゼやOct-4、SSEA-4、TRA-1-6などの未分化マーカーの発現も維持していることがわかった。
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