■研究の目的:近年,ブレイン-マシンインタフェース(BMI)研究によって,生体の神経系と外部機器を接続すると,脳は新しい身体環境に非常に柔軟に急速に適応することが示されつつある.本研究はこれについてリハビリテーションへの応用という観点から,申請者らが開発中の①ラットベースのBMIシステム及び②多機能神経電極(薬液入出力機能などを備えた柔軟な神経電極)という2つの技術を統合・発展させた実験システムを構築して,基礎的研究を行うことを特長としている.リハビリテーション分野における意義に留まらず,提案手法は脳科学の新しいツールとしても大きな意義を有すると考えられる. ■研究実績: (1) 実験用統合システムの構築:昨年度までに引き続き、下記の2つの技術を慢性的に使用可能とするための改良を行った.(1A)ラットベースのBMIシステムの構築:埋め込み型電極によって計測したラット神経信号によって外部機器を制御するシステムの構築を行った.(1B)流路を備えた柔軟神経プローブの慢性計測に向けた改良:併せて皮質脳波及び皮質内信号計測用電極の統合も行った.微小ポンプシステムとの統合するための改良も行った. (2) 生体モデルの作成:統合システムによって,神経系における可塑性の研究を行うベースとするための生体神経系モデルの開発を行った.神経ネットワーク内の相互接続状態の変化を追跡するための計算モデルや,ラット脊髄神経根において信号入出力を行うための手法についても開発を行った. (3) 評価実験:BMIシステムによる生体神経系の可塑特性解明に向けて,上述の成果を利用した評価実験を行った.
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