研究課題
本研究は心大血管外科術後患者を対象に、手術直後からの電気刺激(ES)介入の実行可能性と、術後筋タンパク分解に対する抑制効果を非ランダム化比較試験で検討することを目的とした。後者は介入群は名古屋大学医学部附属病院で、対照群は愛知厚生連海南病院にて設け、両群ともに筋タンパク分解の最終代謝産物である尿中3-メチルヒスチジン(3MH)/クレアチニン(Cre)を術後5日間にわたり連続計測した。【実行可能性】平成23年11月より取り込みを開始し、平成24年11月に介入群68例の調査を終了した。手術翌日よりES介入を60分/回/日、5日/週の頻度で2週間施行した結果、介入群68例の内61例(89.7%)が手術後2週間のES介入を終了。ES施行中に収縮期血圧が20mmHg以上もしくは心拍数が20bpm以上変動した症例は0例であった。ES施行期間中に新規に心房細動を発症した症例は、冠動脈バイパス術後患者26例中7例(26.9%)、弁膜手術後患者22例中4例(18.2%)、大血管・複合手術後患者20例中4例(20.0%)であり、有害事象の発生には問題は認められなかった。【非ランダム化比較試験】対照群32例と肥満度、炎症性サイトカインでマッチングしたES介入例32例の術後5日間の3MH/Creを比較検討した。その結果、ES介入開始前の手術翌日の3MH/Cre値に対する手術後2~5日目の値の比は、対照群では1.4、2.1、2.4、2.2と経過したのに対し、介入群では1.5、2.0、2.0、1.7と対照群より低値を示した(P<0.05 )筋力は対照群では術前比85%まで低下したが、介入群ではほぼ低下は認められなかった。【まとめ】ES介入は心大血管外科術直後より安全に実行可能であり、術後筋タンパク分解の抑制ならびに筋力低下予防効果を有するものと思われた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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