研究課題
網膜電気刺激による脳への視覚情報を評価する際の一つの目標は、脳が網膜上の複数点の刺激を弁別できるかどうかである。単一ニューロン活動の記録は、記録できた各ニューロンの網膜刺激応答性を調べるには適しているが、ニューロンのサンプリングの状況に影響されるため、マッピングを行うのに最適な手法とはこれまでの研究からは言えない。また電場電位を脳内に刺入した電極から記録する場合は、多点でのマッピングを同時記録で行うことが難しい。そのため、本年は、脳表の電極から誘発電位を記録し、そのデータから機械学習のアルゴリズムを行い、誘発電位から刺激電極の推定ができるかどうかを検討した。ネコの一次視覚野を含む大脳皮質表面に16極のマッピング記録用電極を設置し、強膜上に設置した4点の刺激電極それぞれから刺激した時の誘発電位波形を多数回記録した。記録波形を10Hzにダウンサンプリングしたデータを用い、記録した800回のうち784回分のデータをk-近傍法による学習に用い、16回分のデータで刺激電極の判定をさせた。単独の記録電極のみのデータを用いた学習では、チャンスレベルの25%を有意に越える判別はできなかったが、全記録電極のデータから学習させた場合は、50%とチャンスレベルを有意に越える正答率が得られた。現在のダウンサンプリングの方法にはまだ改良の余地があり、学習に用いるデータの処理を工夫することで成績を向上させることができると考えた。この手法を用いることにより、記録した電気生理学的データから電気刺激を推定することが可能であることが明らかになった。また、刺激パラメータの良否を検討するために機械学習の正答率を用いることができると考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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