研究課題
基盤研究(B)
廃用性萎縮筋では筋細胞への栄養や酸素供給などに関与する毛細血管ネットワークも減衰する。一方、運動は廃用性萎縮筋に対して、予防効果があるが活性酸素等の酸化ストレスも増加させる。活性酸素は筋タンパク質のユビキチン化を促進させ、タンパク質分解を進行させる。この作用は運動による効果を制限しているのではないかと考えられ、活性酸素の発生やユビキチン化の抑制をすることが廃用性筋萎縮の予防に重要であると考えられる。そこで、抗酸化力の高い栄養素やユビキチン化の抑制作用を持つ栄養素を摂取することで、運動の効果を最大限に得られる方法について検証した。本研究では、抗酸化作用、細胞活性化作用等があると考えられる栄養素(アスタキサンチン,フラボノイド,ヌクレオプロテイン等)を運動や安静時に摂取することで廃用性萎縮筋(血管退行等を含む)を予防できるかどうかについて検証した。この結果、運動やタンパク質摂取は筋萎縮の量的な変化を効果的に予防し、抗酸化サプリメントは筋萎縮時の毛細血管後退、ミトコンドリア障害、筋の速筋化を抑制した。これらの結果はリハビリテーションを行う際に栄養サポートを行うことで、効果的な廃用性筋萎縮の予防を行うことが可能になることを示唆した。また、栄養素により作用が異なるために適切な摂取を要し、今後、より効果的な栄養サポートを行うための栄養素(サプリメント等)を探索して、筋萎縮予防のための包括的リハビリテーション確立を進めるためのエビデンスの構築が必要である。
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