研究課題
色視力検査装置を、観測者の環境を自在に変更可能な検査法に発展させるために、以下の検討を行った。まず、若年者正常眼を対象に、色刺激(ランドルト環)の輝度を30[cd/m2]に保ちながら、背景輝度を50→45→40→35→32→30[cd/m2]、15→20→25→28→30[cd/m2]の2パターンで段階的に変化させて色視力(CVA)を測定した。色刺激には、NEW COLOR TESTで用いられる15色からR,GY,GY,BPの4色を選び、背景色には標準光D65の白色点を用いた。その結果、すべての色でCVAが変化し統計的に有意な差が生じるが、RやGなどの赤-緑軸の色に比べて、GYやBPなどの青-黄軸の色の変化量が大きく、30[cd/m2]で最大変化量を示すことが確かめられた。次に、上記4色を用いて、色刺激の提示時間を5→3→1→0.5→0.1[s]に変化させてCVA を測定した。背景と色刺激の輝度は30[cd/m2]に揃え、最も提示時間が長い5[s] の場合と他の提示時間のCVA の平均値の差を検定した。その結果、提示時間の短縮に伴いすべての色でCVAが低下し、統計的な有意さが現われるのは白黒:0.1[s]、R:0.5[s]、GY:0.5[s]、G:0.1[s]、BP:1[s]となり、BPが最も大きく影響を受け、CYが最も影響が少ないことがわかった。さらに、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズを装着した場合のCVAを測定した。NEW COLOR TESTの15色を用いて実験を行い、色ごとに正常眼との比較を行った。その結果、完全矯正視力1.5以上の多焦点眼内レンズ眼のY,GY,BG,P,PR でCVA の有意な上昇が認められたが、他の場合は有意な差は認められなかった。眼内レンズ装着時の色に対する視機能評価は従来ほとんど未検討であり、今後検証例を増加して精査する必要がある。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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画像電子学会誌
巻: Vol.41, No.5 ページ: 487~495