研究概要 |
視覚的な情報入手に配慮が必要な視覚障害者のための触覚を活用したツールのJIS化は重要度が高いと言われている,その中で,点字,触知案内図,家電製品への凸記号の各表示方法に関するJISは既に制定され,これらのJISを基にして,日本が主導的立場で新たな国際規格(IS)がISOに提案されており,一部IS(凸記号)が制定されている.しかし,各ツールの表示方法に関する有効性の実証データやそれらの触知覚特性に関するデータが必ずしも十分ではない.そこで本研究では,触知案内図・点字・凸記号を効果的に表示するために必要なそれぞれの触知覚特性を明らかにすることを目的とした.具体的には触知案内図に用いられる面パターンの感覚特性や識別特性,点字-面パターンの間隔と点字の触読性の関係,携帯電話のような家電製品の操作性向上に適う凸記号(凸点に着目)の各寸法を明らかにする.初年度は,まず,触知案内図のストライプパターンの線間隔と識別特性の関係について,初心者(晴眼者(若年者・高齢者))を想定して識別実験を行った。また,点字-ドットパターンの間隔と点字の触読性の関係については,点字触読初心者(若年者)を対象とした触読性評価実験を実施した.更に,凸点の高さと携帯電話のような家電製品の操作性についても,晴眼者(若年者・高齢者)を対象とした実験により評価した.その結果,ストライプパターンの線間隔と識別特性,点字とドットパターンの距離と点字触読性,凸記号の高さと携帯電話の操作性に関する有用な知見が得られた.次年度は,視覚障害者を対象とした同様な実験を行う予定である.
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