研究課題/領域番号 |
22300209
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
畑 孝幸 長崎大学, 教育学部, 教授 (00156332)
|
研究分担者 |
関根 正美 岡山大学, 教育学部, 教授 (50294393)
|
キーワード | 体育 / 人間形成 / スポーツ実践 / 身体性哲学 / 哲学的人間学 |
研究概要 |
本研究では、スポーツを教材とする体育でなければなしえない人間形成の意義を再確認するために、児童・生徒の「心と体」の問題が人間的な存在への問いと不可分であるという認識に立って、スポーツ実践における人間の生の経験と体育における人間形成について検討する。具体的には、スポーツにおける「他者との交流」「コミュニケーション」によって得られる人間の多様な生の経験を、体育という人間形成の営みに取り込むことで、児童・生徒が直面する「心と体の問題」が解決されるという観点から「スポーツと人間の生の経験」「スポーツの教育的価値」「体育における人間形成」について考察する。そのため四年間で、(1)「心身を一体として捉える」とはどういうことか、(2)「体や心への気付き」とは何か、(3)他者との交流を必然とするスポーツ実践における人間の生の経験とは何か、(4)体育においてスポーツによる人間形成の可能性はあるのか、(5)体育でなければなしえない人間形成の意義とは何か、という五つの課題を設定した。平成23年度は、(3)他者との交流を必然とするスポーツ実践における人間の生の経験とは何か、(4)体育においてスポーツによる人間形成の可能性はあるのかについて文献をレビューしながら検討した。昨年度から継続する検討課題は、5月19日かち21日まで開かれた第1回ヨーロッパスポーツ哲学会(プラハ)で発表した。三つ目の課題に関しては、8月19日から20日まで開かれた日本体育・スポーツ哲学会第33回大会(長崎)、9月8日から11日までロチェスター(アメリカ合衆国)で開かれた第39回国際スポーツ哲学会で、成果の一部を発表した。3月には、スポーツの達成が人間の生の経験に対して持つ意味について、本研究の研究協力者(海外共同研究者)であるレンク教授に研究成果のレビューを受けるとともに、シュールマン教授(ドイツスポーツ大学)と研究打合せを行い、専門的知識の提供を受けた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初に予定しでいた計画通り順調に研究が進んだと思われる。そのため予定通り成果発表を行うことができた。ただし、本年度に予定していた課題のうち三つ目の課題(他者との交流を必然とするスポーツ実践における人間の生の経験とは何か)については、一部に、検討が順調に進んでいないところも見受けられる。そのため四つ目の課題(「生きる力」を育む体育におけるスポーツによる人間形成の可能性)の文献レビューが十分でないと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成23年度に予定していた本研究の三つ目の課題(他者との交流を必然とするスポーツ実践における人間の生の経験とは何か)の検討について、必ずしも順調に研究が進んでいなかったと思われる部分があるため、平成24年度計画の早い時期に、その遅延の解消に努めるとともに、四つ目の課題(「生きる力」を育む体育におけるスポーツによる人間形成の可能性)の文献レビューを速やかに完了し、当初予定していた手順で以後の研究を進める必要がある。平成24年度の交付申請書はその旨を記載して提出済みである。
|