研究課題/領域番号 |
22300213
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西保 岳 筑波大学, 体育系, 准教授 (90237751)
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研究分担者 |
本田 靖 筑波大学, 体育系, 教授 (20165616)
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キーワード | 筋代謝受容器反射 / 下肢運動負荷装置 / 心臓副交感神経 |
研究概要 |
本年度は、1)特殊下肢運動負荷装置を製作するとともに、2)上肢・下肢運動時及び筋代謝受容器刺激時における種々の部位での循環反応の違いを検討した。 1)下肢において筋代謝受容器刺激実験用の運動装置を新たに開発した。従来からの下半身圧負荷装置内に設置・使用する必要があり、限られたスペースであること、仰臥位姿勢で行うこと、等張性(動的)運動に加えて等尺性(静的)運動が可能であり、精度良く、段階的にコンピューターにより自動的に負荷できる、ことが開発の条件である。本体は完成し単純な運動は可能となったが、運動パターンを精妙に制御するためのプログラムの開発が次年度の仮題として残った。 2)健康な男性11名を被験者として、90秒間の静的運動後に5分間の前腕阻血(PEMI)を行い、運動は同じ相対強度の条件として30%MVCでの静的ハンドグリップ運動(F条件)および30%MVCでの静的足底屈運動(C条件)を行った。さらに筋代謝受容器反射による血圧上昇がF条件と同程度となる条件として70%MVCでの静的足底屈運動(Calf-matched条件)を行った。 主な結果は以下の通りである。1)F条件のPEMIにおいては、心臓副交感神経活動および動脈圧受容器反射感受性(BRS)は安静時から増加した。一方、2)F条件と同じ相対強度で運動を行ったC条件のPEMIでは、F条件のPEMIと比べて血圧上昇などの循環反応は小さく、また、心臓副交感神経活動とBRSは安静時から変化しなかった。さらに、3)血圧上昇の程度がF条件のPEMIと同程度となるCalf-matched条件のPEMIにおいても心臓副交感神経活動およびBRSは安静時から変化しなかった。以上の結果から、前腕筋群と下腿三頭筋において、筋代謝受容器刺激時の心臓副交感神経活動やBRS反応が異なることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特殊下肢運動負荷装置製作に関して本体は完成し単純な運動は可能となったが、運動パターンを精妙に制御するためのプログラムの開発が次年度の仮題として残ったが、それ以外の実験仮題は当初の目的を達成し、かつ次年度に向けての予備実験もおこなっているため。
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今後の研究の推進方策 |
上記の運動負荷装置を完成させそれを用いた実験を行うとともに、循環反応の個人差を明確にするために、昨年、一昨年行った実験をさらに多くの被験者(50人程度)に対して行い、反応パターンの類型化を試みる。
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