研究課題/領域番号 |
22300218
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
西薗 秀嗣 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (10125338)
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研究分担者 |
福永 哲夫 鹿屋体育大学, 学長 (40065222)
藤田 英二 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 講師 (50506300)
高井 洋平 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 助教 (20574205)
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キーワード | 運動強度 / 高齢者 / 筋電図 / 自重負荷法 / 筋力トレーニング / 筋厚 / 骨 / ADL |
研究概要 |
生活遂行のための筋力水準を高く保つことは重要であるが、その維持すべき目標値は不明である。特に高齢者が過剰な努力を必要とせず、安全なADLのため必要な大腿四頭筋の筋力水準を示すことは学術上急務の課題である。そこで平成23年度は運動プログラム確立のための長期縦断的トレーニング研究の基礎となる適正運動強度について研究を絞った。対象は10~18歳の青少年(男女)、40~70歳の中高年(男女:介護群も含む)約200名であった。表面筋電図(electromyogram : EMG)法により、大腿四頭筋における最大発揮筋力と自重を負荷としたスクワット動作の筋活動水準の関係について実証実験を行った。各対象者の体重あたりの最大膝関節伸展トルク(knee extension torque relative to body mass : KET/BM)、ならびにEMGによる自体重を負荷としたスクワット動作時の大腿四頭筋の筋活動水準(QF%EMGmax)を求めた。KET/BMは、股関節および膝関節90度屈曲位での座位姿勢にて、等尺性最大随意性収縮(isometric maximal voluntaly contraction : MVC)による膝伸展最大筋力を測定し、下腿長を掛け合わせることで膝関節伸展トルクに換算した後、それを体重で除して求めた。KET/BMは、介護群が0/7±0.2N・m/kg、高齢者群が1.5±0-9N・m/kg、中高年者群が3-0±0.9N・m/kg、若年者群が5.0±0.7N・m/kgであり、介護群が他の3群と比較して有意に低い値であった。スクワット動作時のQF%EMGmaxは、介護群で72.0±19.2%、高齢者群で51.6±22.7%、中高年者群で25.3±9.6%、若年者群で13.8±4.1%であり、介護群が他の3-群と比較して有意に高い値を示した。折れ線回帰分析の結果、KET/BMとQF%EMGmaxの関係には、KET/BMが1.9N・m/kgを変曲点とする2相の負の相関関係が認められた。KET/BMが1.9N・m/kgを下回る対象者は、KET/BMの僅かな低下に対してQF%EMGmaxの急激な増加を示していた。自体重を負荷としたスクワット動作中における大腿四頭筋の筋活動水準は、その最大発揮筋力に影響を受けていた。また、KET/BMが1.9N・m/kgを下回る者にとって自体重を負荷としたスクワット動作は、相当な高強度に類するエクササイズになりうることが明らかとなった。本研究で示された1.9N・m/kgの変曲点は、過剰な努力を必要とせずにADL動作を遂行するために必要な大腿四頭筋の筋力水準であること示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では十分ではなかった個人個人の筋力レベルに応じたトレーニング負荷を自重負荷法で行うための基礎研究がなし得たことは評価できる。今度、この知見に基づいて研究を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究によるエビデンスに基づいた運動プログラムを実施するために適正トレーニングプログラム内容の修正が新たな課題となり、平成24年度研究の中で検討する。 実施期間:平成24年10月から1年間に渡って運動プログラムを実施する。 分析概要:運動プログラム開始後6カ月(平成24年4月ごろ)とプログラム終了時(平成24年10月ごろ)に最終測定を実施し、プログラム開始前・実施期間中・プログラム終了時の各測定項目結果の変化について比較検討する。得られた測定結果より、総合的・包括的なトレーニング処方を作成する。
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