研究概要 |
本研究では,スポーツにおいて飛翔する競技者や,ボールなどの飛翔体そのものに慣性センサを装着または内蔵し,センサから得られる信号から飛翔中にヒトやモノに作用した流体力を推定することを目的とする.研究対象としては,ヒトの飛翔として,スキージャンプをとりあげ,モノの飛翔についてはフライングディスク,円盤投における円盤,および野球ボールを研究対象としている.H23年度においては,フライングディスク,および円盤投における飛翔期の運動計測,およびこれら飛翔体の空力特性を明らかにするために,実物大モデルを用いた風洞実験を山形大学において行った. フライングディスクにおける飛翔期の運動計測は,光学式モーションキャプチャーシステムViconを用いた実験によって精密な位置計測を行った.H22年度に山形大学において行ったフライングディスクの風洞実験は,ディスクの大きさと質量により,安定した回転が得られなかったために失敗裏に終わったため,計測装置を改善した実験を行い,良好な結果を得た.この風洞実験結果によって明らかになった空力データを実際の飛翔期におけるフライングディスクの軌道,姿勢変化から,作用した流体力の推定を試みた.円盤投については,H22年度に開発した無線慣性センサ内蔵の円盤を用いた飛翔実験を,中京大学において行った.国内トップレベルの女子選手による投擲によって,その回転数や飛翔中に得られる運動学変量を確認し,回転角速度計測レンジの向上を目指した仕様の改良を行った.円盤投においてはカタパルト式の発射装置の開発を行い,発射実験を行った.カタパルト式発射装置は,より安全で安定した飛行を得るために,H24年度に改良することにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長大な空間を移動するスポーツにおける飛翔体の移動および姿勢変化を精密に捉えるために,H22年度よりドップラーレーザーによる計測を計画していたが,開発元の企業との提携が折り合わず,光学式モーションキャプチャーによる計測に変更する事を余儀なくされたため,計測範囲が狭くならざるを得ず,計画に遅れが生じた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度であるH24年度においては,空力データをすでに得ているフライングディスク,円盤投において実空間における飛翔計測データによって運動学変量を計測する事で,ディスク・円盤に作用する流体力の推定と飛翔中に起こる姿勢変化の関係を明らかにしていく.また,これまでの研究成果をまとめたうえで,論文誌への投稿,国際会議での発表を計画している.
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