研究概要 |
ハムストリングスの機能分担に関する研究では成人10名を対象とし立位で股関節をゆっくり90。まで屈曲させ体前屈位を強制するgood morningトレーニングを等尺性膝最大屈曲筋力の0.8倍の負荷をかけながら施行し,その結果を表面筋電図,MRIでのT2値変化および筋断面積(CSA)変化より評価した.その結果、伸張性運動と短縮性運動のどちらにおいても大腿二頭筋長頭および半膜様筋の活動度が半腱様筋および薄筋の活動度に比べて高く、さらに伸張性運動では半膜様筋の活動度が大腿二頭筋長頭のそれよりも高かった.またMRIのT2値の結果からも、このような運動の筋力トレーニングとしての効果は特に大腿二頭筋長頭や半膜様筋において生じることが推測された。この結果は我々の膝伸展によるハムストリンへの伸張性負荷実験(萌芽研究平成19~20年)と異なる結果であった. 肉離れを生じた肢位の解析はサッカー協会(Jリーグ映像提供)のビデオを元に2例について2次元での解析をした.サッカーの場合膝伸展よりも,股関節を強制的に屈曲させられてハムストリングスを受傷するケースが多く,膝関節は伸展位はなってなくても,股関節の強制的な屈曲で受傷するケースが多かった. なお受傷した選手が国立スポーツ科学センターを受診した場合は肉離れ部分を中心としたMRI(STIR)画像を撮り,受傷肢位と画像所見の関連,さらにはリハビリテーションと復帰までの過程を検討した.結果として代表的な肉離れでは,筋とともに腱膜(Tendon plate)の損傷が必ず生じており,この腱膜の治癒期間と,スポーツ復帰までの期間がほぼ一致する事が判明した.
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