研究課題/領域番号 |
22300228
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
島津 明人 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80318724)
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研究分担者 |
藤原 武男 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (80510213)
川上 憲人 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90177650)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ワーク・ライフ・バランス / コホート / 健康 / 夫婦 / 親子 / 生活習慣 |
研究概要 |
本研究は,未就学児(0~6歳)を持つ共働き夫婦を対象とした5年間の追跡調査を行い,夫婦それぞれのワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)のあり方が,(1)夫および妻自身の健康,(2)夫婦間の相互作用を通じた配偶者の健康,(3)夫(父親)および妻(母親)の養育態度を通じた子どもの健康,に対してどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的としている。平成25年度は,以下の成果を得た。 1. 平成23年度調査の解析:父親,母親,子どもの3者データを用いて,親の仕事への態度(ワーク・エンゲイジメント,ワーカホリズム)が,親の主観的幸福感を媒介しながら,子どもの情緒的・行動的問題に影響を及ぼすことを明らかにし,欧州産業組織心理学会のシンポジウムにて発表した。 2. ニューズレターの発行:ニューズレターを月1回ずつ研究対象者に配信し,研究への関心を維持してもらうための配慮を行った。配信後のニューズレターは,HPにもアップロードし,研究対象者以外も閲覧できるようにした。本ニューズレターは平成23年6月に発行を開始し,平成26年3月までに通算20号を発行した。 3. 平成25年度調査の実施:(1)第4波調査(S区:299世帯)および第3波調査(M区:344世帯)を実施した。S区では,父親95件,母親117件,子ども120件の返送があった(返送率それぞれ32.6%,39.3%,40.1%)。M区では,父親80件,母親120件,子ども120件の返送があった(返送率それぞれ23.7%,34.9%,34.9%)。(2)調査に回答した2区合計240世帯に対して,世帯ごとに結果のフィードバックを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 研究協力者に向けた月1回のニューズレターを継続的に発行することができた。本ニューズレターは平成23年6月に発行を始めてから平成26年3月までに通算20号を数え,研究協力者の脱落を防ぐうえで一定の効果があったと推察される。 2. 第4波調査を実施し,世帯ごとのフィードバックと全体報告書を作成することができた。第4波調査では研究協力者の利便性を考慮しWEB調査を併用した。これにより,昨年度に比べて回答率が向上した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 平成22-25年度調査データのクリーニング 平成22年度から25年度の4年間に得られた縦断データのクリーニングを行う。本研究では,1年度あたり3種類の調査票(父親,母親,子ども)を4年間にわたって継続して実施する複雑なデータを有していることから,データクリーニングには十分な注意が必要なる。 2. 平成22-25年度調査データの解析 研究分担者および連携研究者とともに,以下の観点からデータ解析を進め,論文化を目指す。(1)夫婦の働き方(ワーク・エンゲイジメント,ワーカホリズム)が,パートナーおよび子どもの精神的健康に及ぼす影響を明らかにする。また,家族機能尺度について,尺度特性を検討する(島津)。(2)親のワーカホリズム傾向が,子どもの肥満傾向に及ぼす影響を明らかにする。また,親の養育態度尺度について,尺度特性を検討する(藤原)。(3)家庭環境および家族機能が子どもの精神的健康に及ぼす影響を検討する(渡井)。(4)夫婦のワーク・ライフ・バランスのあり方が自己およびパートナーの睡眠に及ぼす影響を検討する(高橋)。(5)精神的健康の継時的変化に関して潜在曲線モデルなどを用いながら検討する(岩田)。
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