研究概要 |
『研究全体概要』本研究の目的は,薬物乱用の一次予防対策としての有効な健康教育プログラムの構築をめざし,青少年の薬物乱用の実態,背景・要因をEvidence(確証)として明らかにすることである。そのため定点(高校)に「高校生の喫煙,飲酒,薬物乱用の実態と生活習慣に関する全国定点追跡調査」を本科研費採択期間4年間において2回(H23,H25に)実施し,薬物乱用の実態,その背景要因のモニタリング的疫学調査(定点追跡調査)研究を行った。 『本年度調査研究の結果概要』 定点校への2回目調査の実施:対象高校は1回目調査を実施した51校の内,49校で実施できた。従って,本研究の全国定点追跡調査における定点校(1,2回目実施)としては49校となった。49校の1回目調査の有効回答数は32,259,2回目(本研究年度)調査では32,458であった。1回目と2回目とも同様の調査実施方法,調査内容(104項目)で行った。また,データベースも1回目と2回目同じ様式で作成した。 1回目と2回目調査の薬物乱用,飲酒,喫煙の経験者率,主な背景要因の変化の概要:薬物乱用生涯(これまでに1回以上)経験者(シンナー,覚せい剤,大麻,MDMAのいずれか1つ以上)率は1回目0.63%から2回目0.51%に減少していた。また,飲酒の年経験者(この1年間に1回以上)率は 40.0%から30.6%に,喫煙の年経験者は5.3%から3.6%と,減少していた。2004年の同様の調査研究でこれらの危険行動と密接な関連性を示した事項についてみると,アルバイト時間,朝食の摂取率に大きな変化は見られなかったが,悩みごとを親に相談する者は1回目48.6%,2回目52.2%で増えていた。今後,これらの変化から,危険行動と背景要因との関連性についてさらに詳細な分析を行う予定である。
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