研究課題/領域番号 |
22300234
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中川 嘉 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80361351)
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研究分担者 |
島野 仁 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20251241)
松坂 賢 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70400679)
石井 清朗 筑波大学, 医学医療系, 助教 (80419150)
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キーワード | 生活習慣病 / CREBH / FGF21 / PPARα / 遺伝子発現 |
研究概要 |
生活習慣病患者の増大が社会問題となっている。そのため、その発症の分子メカニズムを明らかにすることで生活習慣病治療の新たな戦略の構築をねらい研究を行っている。小胞体ストレス関連転写因子は一般的には生活習慣病を悪化させると考えられるが、しかし、我々が着目するCREBHは逆に病態を改善させることを見出した。本研究ではその分子メカニズムについて検討を行っている。そのメカニズムの一つとして生活習慣病改善ホルモンであるFGF21の発現誘導がある。FGF21の増加は糖尿病、脂質異常症の改善に機能することが報告されている。CREBHの過剰発現では血中グルコース、インスリン、脂質の低下、食欲低下を示し、生活習慣病の病態を改善させた。FGF21は肝臓で合成後、血中に放出され、全身の組織で機能することからCREBHによる肝臓でのFGF21発現上昇が中心にその効果を生んでいると考えられる。さらに、CREBHノックアウトマウスではFGF21の発現低下とともに血清中性脂肪の増加をはじめとする栄養代謝の異常を示した。FGF21の遺伝子発現制御メカニズムの解析ではCREBHが直接、FGF21の発現制を活性化する経路と、さらにすでに報告のあるPPARaを介した経路の2つの経路で制御されていた。PPARαを介した経路はCREBHがPPARαの発現を直接、上昇させることによる。CREBH-PPARαの転写・機能調節機能を解析するため、PPARαアゴニストをCREBHノックアウトマウスに投与したところ、PPARαで発現が上昇する遺伝子群の発現が低下しており、PPARαの活性化にCREBHが必要であることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、成果をまとめ、論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
CREBHによる遺伝子発現調節をさらに検討し、特にPPARαとの関連性に着目する。PPARαのアゴニストは脂質異常症の治療薬としてすでに使用されており、CREBHが新たなPPARαの調節因子であれば新たな脂質異常症を含む生活習慣病の治療薬の開発へと発展できる。また、どの栄養素成分がCREBHを活性化できるものかを探索することで健康増進を促進させる食物を特定できる。
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