心音から判定する有効で安全な運動強度・心機能評価法に関して明らかにする為に、平成22年度において、心音屈曲点(HSBP)と骨格筋適応のトレーニング閾値の関係の検証、ならびにHSBPと虚血閾値の関係を研究目的とした。 本年度に予定していた「心音屈曲点(HSBP)と骨格筋適応のトレーニング閾値の関係の検証」に先立ち、平成23年度の研究計画に予定していた「第1心音(S1)屈曲点(HSBP)を活用した心機能判別法の開発」の研究を先に実施した結果、第一心音振幅の変化は、「心収縮力」と「心室内圧」を反映していることが明らかとなり、当初、仮説としていた三重積(心収縮力×血圧×心拍数)を用いるまでも無く、「第一心音振幅と心拍数」を掛合わせた二重積において、十分に運動中の心筋の負担が評価可能である事を明らかとなった。従来の二重積(末梢血圧と心拍数の積)を算出する方法と比べ、本年度実施した方法はより高い精度で二重積を算出できることが可能となった。 また、「HSBPと虚血閾値の関係」の検証に関して、運動中の心筋虚血の評価指標である心電図ST変化を推定可能な心音の出現間隔から求められる拡張期時間の割合(%DT)を虚血閾値の指標として用い、HSBPとの関係を検証した結果、HSBPの運動は心筋虚血が発生しない強度であることが確認された。平成23年度は、「心音屈曲点(HSBP)と骨格筋適応のトレーニング閾値の関係」ならびに「トレーニングによる心機能改善効果」に関する検証研究を行なう。
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