心音から判定する有効で安全な運動強度・心機能評価法に関して明らかにする為に、平成24年度において「トレーニングによる心機能改善効果」の追検証ならびに「地域住民の健康づくり運動支援法」に関する検証研究を行なった。 昨年度に引続き「トレーニングによる心機能改善効果の検証」を福岡大学病院メディカルフィットネスセンターおよび昭和大学付属病院を中心に、複数の施設にて心疾患患者を対象とした運動トレーニングを行い、心機能や有酸素性作業能力が向上するか検証を昨年度に引続き実施した。心疾患患者の心臓リハビリテーションの一環として心音を基準とした運動トレーニングを実施した結果、心機能・有酸素性作業能力の向上が確認された。しかし、ある一部の心疾患を保有する患者において心音屈曲点(HSBP)が出現しない現象が観察されたことから、心音から判定する運動強度評価法として対応出来ない心疾患が存在する事が確認された。 また、「地域住民の健康づくり運動支援法」を検証する為に健常者、および心疾患発症リスクを有する者に対して、心音測定を基準とした運動処方の有効性の検証研究を行なった結果、心疾患患者と同様に有酸素性作業能の向上が確認された。心音測定に伴う初期投資費、ランニングコストや測定の簡便さなどは、従来法と比べコストパフォーマンスの面において非常に優れており、地域住民の健康づくり運動支援法のツールとして汎用性の高い有効な手段である事が確認された。
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