研究課題/領域番号 |
22300242
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉田 康一 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究部門長 (90358333)
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研究分担者 |
片岡 正俊 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (20224438)
七里 元督 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究員 (20434780)
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キーワード | バイオマーカー / 生活習慣病 / 脂質 / マイクロチヅプ / 糖尿病 |
研究概要 |
本研究の目標は、ヒト臨床検体によって有用性を検証した脂質由来の酸化ストレスマーカー(特にリノール酸およびコレステロールの生体内酸化によって生じるヒドロキシリノール酸およびヒドロキシコレステロールとその前駆体)の生理的意義を科学的に解明することである。本年度は主に、疾患モデル動物中の脳内脂質酸化物の解析と抗酸化物質の効能効果を評価することによりマーカーの意義解明を目指した。 1.アルツハイマー病およびダウン症モデル動物における脳内脂質酸化とビタミンEの効果 Ts65Dnマウスを用いて、中枢神経の酸化傷害を抗酸化物質で抑制することで、行動異常を改善することができるかを検討した。Ts65Dnマウスの海馬において、脂質酸化生成物の増加と海馬神経細胞数の減少および行動異常が認められた。本マウスへ胎児期からの継続的なビタミンE(抗酸化ビタミン)投与は、海馬における脂質酸化生成物の抑制と、海馬の神経細胞数を改善することを認めた。さらに、ストレス環境下での行動異常に対しても、改善効果が認められた。これらの結果より、脳内脂質酸化物の上昇は、神経障害による行動異常の一因になっていることが示唆された。この研究結果をFree Radical Biology & Medicine誌に投稿し受理された。 2.ヒドロキシリノール酸およびヒドロキシコレステロールおよびその前駆体の細胞応答メカニズム解明 培養細胞(主に上皮角化細胞HaCat)を用いて、各脂質酸化物の細胞毒性を検討した。今後、各化合物を細胞に処理した時の生細胞率の結果をもとに、細胞死を示さない低濃度での適応応答とその詳細な解析を行う。
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