研究概要 |
都市部在住後期高齢者1,377人よりサルコペニア高齢者304人を選定し、介入参加者を募集したところ155名介入参加、149人不参加であった。介入参加者をRCTにより4群に分け、包括的運動指導と栄養補充を3ヶ月間実施した。その結果、骨格筋量と通常歩行速度は運動群、栄養群、運動+栄養群で有意な増加が観察された。しかし、下肢筋力は運動+栄養群のみで有意な向上が観察され、サルコペニア予防のためには、運動指導に栄養補充を加える複合介入がより効果的であることを検証した。介入の長期効果を検証するために、介入終了4年後の追跡調査を平成24年度10月に実施し、サルコペニア304人中、259人(85.2%、会場調査109人、郵送調査150人)のデータを収集することが出来た。介入参加有無別にみると介入参加者155人中135人(87.1%)、不参加者149人中124人(83.2%)であった。介入参加有無別に4年間の体力の変化をみると、握力は参加群2.12%減少、不参加群2.18%減少(P=0.990)、膝伸展力は参加群2.87%減少、不参加群8.19%減少(P=0.360)、通常歩行速度は参加群6.77%低下、不参加群15.20%低下(P=0.022)と介入参加者と不参加者の歩行速度の低下率で統計学的な有意差が確認され、介入参加は歩行機能低下予防に効果的であることが強く示唆された。もう一つは転倒である。介入参加者の2008年度転倒率18.4%、2012年度転倒率23.2%と4.8%上昇したが統計学的に有意(χ2=2.122, P=0.145)ではなかった。一方、不参加群の2008年度転倒率17.8%、2012年度転倒率28.7%と10.9%上昇し、統計学的に有意(χ2=15.415, P<0.001)であった。以上の結果から、介入参加はサルコペニア高齢者の転倒率の抑制に有効であることを検証した。
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