研究課題
2007年のNature Medicine論文で分子状水素の効果が初めて報告されて以来、水素は60を超える疾患モデルで効果が確認され、水素効果に関する論文は250報以上発表されてきている。その作用機序として、ヒドロキシラジカルの選択的消去が提唱され、実際に水素が酸化的障害を抑制することは多くの病態で確認されている。我々は酸化的障害が病態に直接関与しない疾患モデルとして、即時型アレルギーおよび炎症の細胞モデルを用いて、水素の効果および作用機序を検討した。その結果、水素は生理的に重要な酸化的シグナルに対しては影響を与えず、細胞内シグナル伝達を抑制することにより効果を示すことを報告している。24年度は、脂肪肝の細胞モデルとして、パルミチン酸負荷による肝細胞への脂肪沈着に対する水素の効果および作用機序を検討した。その結果、水素は脂肪酸のトランスポーターであるCD36の発現を抑制して脂肪酸の取り込みを抑制することにより、その下流にあるJNKのシグナル伝達を抑制し、脂肪沈着を抑制することが判明し、水素の標的分子は、CD36またはその上流にある可能性が示唆された。今後、アレルギー・炎症・脂肪肝の細胞モデルを用いて、水素の直接的な作用部位、標的分子の同定を目指す。また、水素効果を検証する実験においては、通常は細胞を水素で24時間前処理していたが、非常に短時間の前処理でも水素が効果を示すことを今回見いだしている。今後、水素処理の時間と濃度を変化させることにより、至適な水素処理の条件を決定する。さらに、神経変性疾患モデルマウスに対する水素水の効果を検証し、運動機能のアッセイにて水素水はモデルマウスの発症を遅延させ、病理像の解析でも神経細胞死を遅延させる効果があることを見いだした。現在、この分子作用機構の研究を行っている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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