研究課題/領域番号 |
22300249
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
水谷 千代美 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (00261058)
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研究分担者 |
梶原 莞爾 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (10133133)
高寺 政行 信州大学, 繊維学部, 教授 (10163221)
細谷 聡 信州大学, 繊維学部, 准教授 (40293500)
白井 汪芳 佐久大学信州短期大学部, その他部局等, 教授 (80021153)
矢羽田 明美 佐久大学信州短期大学部, その他部局等, 教授 (80369313)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 消臭抗菌繊維 / 介護服 / 抗アレルギー / 皮膚疾患 / 寝たきり高齢者 / 悪臭 / 国際情報交換 / デンマーク工科大学 |
研究概要 |
介護服に求める衣服の性能についてアンケート調査したところ、衣服の着脱しやすさ、伸縮性、着心地、保温性、吸水性の順で重要であるという結果であった。事実、介護の現場では衣服の着脱が負担になって腰や腕に支障をある人が多くみられた。我々は、これまでに介護者に負担にならないような介護服について検討してきた。まず、下衣の開口部のデザインを改良し、次に上衣の開口部や付属品を検討し、腕および腰の筋活動量から衣服の開口部が介護者の負担量に与える影響について調べた。その結果、上衣・下衣ともに衣服の前面の開口部を工夫することで介護者に負担が少なくなることがわかった。 ねたきり高齢者は、背中に湿疹やかぶれなどの皮膚疾患が多くみられた。発汗により背中部分の肌のpHが弱酸性からアルカリ性を示すために、皮膚に存在する黄色ブドウ球菌のような悪玉菌が活性化し、皮膚に悪影響を与えたことが原因のひとつとして考えられる。そこで、肌のpHを弱酸性に保つために繊維に酸性度の異なる二種類の酸を導入する加工を施し、酸の種類の違いによって肌のpH、水分、弾力などに与える影響について調べた。その結果、酸性度の異なる二種類の酸で処理した試料布はともに肌のpHが弱酸性に保たれることがわかった。さらに、これらの試料布は、アレルギー体質の人にも効果があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開口部から改良した衣服の着脱性について検討した論文は、Textile Bioengineering and Informatics Symposiumで論文賞を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年となる今年は、今までの不足点を充填する。 1) 消臭抗菌繊維として、金属フタロシアニン、ナノプラチナ、光触媒繊維、活性炭繊維の消臭、抗菌、抗アレルギー性などを調べ、介護服・介護用品に応用し、適正化を評価する。2) 介護服として開口部の形状、大きさが異なったデザインを考案し、腕、腰の筋電図から従来の介護服と比較して負荷が少ないことを実証する。3) 2)のデザインの介護服に消臭抗菌繊維を用い、服全体に消臭抗菌繊維を用いた場合と悪臭が発生する股間、脇などの一部分に用いた場合の二通りの介護服を作り、消臭効果の違いを検討する。4) 介護服を実際に高齢者施設・病院で臨床テストを行い、介護服の利便性、快適性、洗濯耐久性などの消費科学的性能を調べる。5) 皮膚のただれ、かぶれ、水虫など皮膚疾患を患っている人を対象として、抗アレルギー性を有する消臭繊維を用いて衣服に応用し、皮膚疾患の程度、皮膚のpH、皮膚の弾性、皮膚の水分量などを評価する。
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