研究課題/領域番号 |
22300250
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研究機関 | 札幌国際大学短期大学部 |
研究代表者 |
永田 志津子 札幌国際大学短期大学部, 総合生活学科, 教授 (60198330)
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研究分担者 |
笹谷 春美 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00113564)
山井 理恵 明星大学, 人文学部, 教授 (40320824)
山口 麻衣 ルーテル学院大学, 総合人間学部, 准教授 (30425342)
森川 美絵 国立保健医療科学院, 医療・福祉サービス研究部, 主任研究官 (40325999)
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キーワード | 高齢者介護 / 介護保険 / 小規模多機能 / 住まい / 地域密着型介護 |
研究概要 |
第一に、平成22年度に実施した北海道Y市における高齢者介護事業所および介護保険サービス利用者と家族へのヒアリング調査結果について、フィンランドタンペレ市で行われた国際会議で報告した。また同時にフィンランド親族介護協会において介護者支援の状況、フィンランド教育庁において介護人材養成の現状についてヒアリング調査を実施し、関連資料収集および施設見学等を行った。第二に、我が国における地域密着型介護サービスの検証を目的として、同サービスの中心である小規模多機能型居宅介護事業所におけるアンケート調査およびヒアリング調査を実施した。対象事業所は平成23年4月現在の北海道における小規模多機能型居宅介護事業所169ヶ所であり、回収数は55ヶ所(有効回答率33%)、調査内容は職員の配置、利用者の状況およびサービス提供状況、管理運営状況、諸機関との連携等である。さらにこのうち11事業所において、利用状況および事業所運営の詳細、地域状況に関するヒアリング調査を実施した。また同事業所における利用者(15名)および家族(5名)を対象として、利用の経緯、利用状況、利用後の変化等についてヒアリング調査を実施した。事業所調査からは、対象エリアの広さや職員確保の問題、居住機能併設の傾向などがあげられ、利用者・家族調査からは事業所の柔軟な対応が評価され地域生活に寄与している様子が見られた。しかし未だ事業の知名度は低く利用者確保が困難な状況も見られた。第三に、平成22年度、23年度の調査結果に関連して、セミナー「ケアリング関係の視点からの高齢者支援」を開催し、意見交換を行った。この他に、23年度調査結果に関しては「福祉・介護人材確保緊急支援事業中堅キャリア開発研修会」(平成23年9月23日)および「シンポジウム-地域密着型サービスを考えるinほっかいどう2012」(主催北海道小規模多機i能型居宅介護サービスネットワーク)において調査報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度計画に沿い、22年度調査結果に関してフィンランドにおける国際会議で報告を行った。同時に北欧の高齢者介護の資料収集および関連施設の視察を実施することができた。さらに23年度計画の小規模多機能型居宅介護事業所および利用者・家族へのヒアリング調査、事業所対象の量的調査は計画通り実施することができた。またヒアリング調査結果の概要をシンポジウム等で報告した。事業所の量的調査については詳細の分析に至らず24年度の実施予定となった。さらに要介護高齢者の多様な「住まい」の在り方に関しては資料収集に留まり、課題整理には至らなかった。報告書の作成は最終年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
地域密着型介護の現状調査においては、小規模多機能型居宅介護の事業所運営者、利用者の視点からの調査結果を得ることができたが、介護労働者視点の調査は未着手のため平成24年度に実施したい。これにより在宅介護の中心となる小規模多機能型居宅介護の今後の展開の可能性を明らかにし高齢者の地域居住継続に果たす意義と役割を整理する。また小規模多機能事業所アンケート調査結果の詳細分析を行うとともに24年度からの新たな取り組みである複合型サービスの進捗状況を確認する。高齢者在宅介護の地域実態、地域格差等について明らかにするため平成24年8~9月に道央、道東において地域福祉活動の取り組みとその利用者を対象とするヒアリング調査を実施する。加えて地域居住継続に資する大きな要因としての高齢者居住政策の動向について考察する。
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