研究課題
乳がん術後女性のより豊かな衣生活に資するため、被服学・看護学の研究者が連携して、術後の衣生活の現状と課題を踏まえ、課題解決に向けての多角的な取り組みに着手した。今年度の主な取り組みとその成果は次のとおりである。1.患者向け情報の収集・分析(1)医療機関からの情報提供の実態を明らかにするために、国内342施設の医療機関を対象に、病棟と外来における看護職者から患者への衣に関わる情報提供の内容・方法に関する質問紙調査を実施した、あわせて、医療機関で配布されているパンフレット等の資料収集を行った。依頼した機関のうち約半数から協力が得られた。広範な調査結果について、現在、整理・分析を進めている。(2)乳がんを扱った国内の患者向け書籍32点、雑誌9点を対象に、日常生活の工夫のうち衣に関わる記述についての内容の分析を進めている。2.衣生活の不具合改善のための基礎データの収集(1)術後用補整下着(ブラ)・補整具(パッド)着用時の温熱的快適性を評価するため、術後女性を被験者とする衣環境計測(衣服内温湿度・皮膚温・体温・発汗量等)に向けて、計測機器の選定・導入・調整、予備実験による実験方法・実験条件の設定等を行い、本実験を実施できる状況が整った。(2)術後用ブラ・パッドの身体適合性を評価するため、術後女性9名を被験者とし、着用感の評価、3次元形状計測(胸部形状と補整効果の評価)、衣服圧測定、運動画像解析による上肢動作時のブラのフレームやカップ内のパッドのずれの評価を行った。術後女性を被験者として系統的にデータを得た例は他になく、大きな成果といえる。(3)術後用ブラ・パッドの諸物性(熱・水分特性、力学特性等)を評価するため、布帛を対象とした既存の試験法をもとに、試験法の改良・工夫を検討中である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
千葉県立保健医療大学紀要
巻: 2 ページ: 57-62
京都女子大学生活造形
巻: 56 ページ: 47-55
日本家政学会誌
巻: 61 ページ: 365-373