研究課題/領域番号 |
22300252
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
谷田貝 麻美子 千葉大学, 教育学部, 教授 (20200595)
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研究分担者 |
阿部 恭子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (00400820)
川端 博子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70167013)
諸岡 晴美 京都女子大学, 家政学部, 教授 (40200464)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 衣服 / 衣生活 / 快適性 / 乳がん / 乳がん看護 |
研究概要 |
乳がん術後女性のより豊かな衣生活に資するため、被服学・看護学の研究者が連携して、術後の衣生活の現状と課題を踏まえ、課題解決に向けての多角的な取り組みを展開した。各種の調査や実験から得られた今年度の主な成果は次のとおりである。 1.衣に関わる患者向け情報の収集・分析:国内の医療機関を対象とした質問紙調査や収集した指導援助用パンフレットの内容を分析した結果、乳がん術後女性への看護支援では、術後用補整具・補整下着の情報提供は多いが、衣類・着装に関するケアは十分に行われていないこと、着心地や肌触りのよい下着や衣類の情報が求められていることがわかった。 2.術後用補整具・補整下着の着用実態の調査:インナーウェアメーカーの協力を得て実施した質問紙調査の結果と提供された顧客データについて、さまざまな角度から分析を行った。その結果より、今後の課題として、乳房全摘術後女性を対象として、術後まもない時期からの衣生活の推移を調査する必要性が示され、調査計画や調査対象者選定等の準備を整えた。 3.術後用補整具の快適性・機能性・身体適合性等の評価:乳房全摘術後女性を被験者として、素材・構造・形状や重量の異なる市販または試作した種々の補整具を装着したときの、衣服内気候、筋負荷、主観評価等を比較した。その結果、補整具の種類により補整具内側の温度・湿度の上昇が抑制できることや、軽い補整具ほど日常的な動作における筋負荷が小さく重量感や疲労感が少ない傾向にあることなどが明らかとなった。これらの実験により、機能的で着用感にすぐれた補整具の開発を考えるうえで有用な基礎的データを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画のうち、看護学分野の研究分担者が主となって実施した、医療機関を対象とした衣に関わる患者向け情報の調査については、概ね結果の整理・分析を終え、本研究の学際的な特色を生かして、被服学分野の学会で成果を発表した。その他の調査についても、これまでの結果をまとめ、最終年度に取り組むべき重要な課題を明らかにした。術後女性を被験者とする各種の実験では、本年度より参画した研究分担者が、とくに補整具の快適性・機能性等の評価について新たな実験を実施し、補整具の種類による影響を明らかにするなど、多くの知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの調査結果・実験結果をまとめ、得られた知見と検討課題を明らかにして、最終年度に追加・補足すべき調査や実験を実施する。さらに、被服学・看護学連携により、これまでの研究成果を統合して、相互の分野、患者・術後者、医療従事者、関係企業等に広く情報提供することをめざし、情報の内容の吟味や情報提供の方法などを検討し試行する。
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