研究概要 |
電磁界曝露による生体影響については,社会的にも関心が高く懸念を抱く人も多い。最近では、家庭内においてIHクッキングとして電磁誘導を利用した調理器具が普及してきている。IH調理器の利用においては、年齢層の幅広い人の利用、中でも妊娠女性が機器と面した場所での利用などが有り心配されている。WHOの環境保健クライテリアにおいても、研究の推進がうたわれている。我々は、これまでに共同研究にて、低濃度化学物質をマウスに曝露した際の神経・免疫・内分泌ネットワークへの影響評価を幅広く進めてきており,妊娠時の胎児から成獣まで種々のタイミングで曝露を行い各発達ステージでの感受性の相違などについても検討してきた。これらの経験を生かし、まずはIH調理器に相当する中間周波電磁界の曝露装置を作成し、曝露中の温度管理、曝露強度評価など物理的な環境整備が予定通り実施できた。初年度は、主に成獣マウスを用いた実験に実施したところ、電磁界曝露時の拘束ストレスによると思われる体重増加の抑制などがsham exposure群で認められたが、電磁界ばく露の影響は認められなかった。なお、中枢神経系の影響評価に関しては、東日本大震災の影響による停電でサンプルが解析不能となったため、2年目に再度実験を予定する。あわせて、アッセイ系の確立を目指し、実施していたPig-A遺伝子座突然変異検出系は、陽性コントロールとしての放射線照射の系において予定通り確立することが出来た。2年目以降は主に妊娠時マウスに電磁界曝露を実施し、生まれてきた仔マウスに対する影響評価を検討していく予定である。
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