研究概要 |
申請者はメイラード反応の条件(pHやイオン強度)をコントロールすることで、色の主要成分が低分子化合物となることを見出し、新規黄色化合物群としてfurpipate類およびdilysyl-dipyrrolone類を単離同定した。今年度はそれらの化合物(furpipate,decarboxylated-furpipate,hydroxymethyl-furpipate,decarboxylated-hydroxymethyl-furupuipate,dilysyl-dipyrrolone A,dilysyldipyrrolone B)の性状を食品学的に解析した。まず各色素を調製するため、原料溶液を加熱しメイラード反応を起こした後、各色素を各種クロマトグラフィーによりそれぞれ単離した。色についてみると黄色はdilysyl-dipyrrorone A,dilysyl-dipyrrolone Bが強く、次いでfurpipate、hydorxymethyl-furpipateで、decarboxylated-furupipateとdecarboxylated-hydroxymethyl-furupuipateが一番弱かった。dilysyldipyrrorone A及びdilysyldipyrrolone Bの呈味性を調べたが、1%でも呈味性は示さず、また5原味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)に対する増強効果も示さなかった。ペーパーディスク法でグラム陽性菌、陰性菌、糸状菌に対する抗菌活性を調べたが、1mg/mLでいずれも抗菌活性を示さなかった。ORAC活性、DPPHラジカル捕捉活性、リノール酸酸化阻害活性を調べたところ、dilysyl-dipyrrorone A及びdilysyl-dipyrrolone Bは比較的強い抗酸化活性を示したが、furpipate類は強い抗酸化活性は示さなかった。Furpipate類はアンジオテンシン変換酵素阻害活性を示した。また、醤油中の低分子メイラード色素を探索した結果、黄色物質として2,4-dihydroxy-2,5-dimethyl-3(2H)-thiophenoneを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料(furpipate,decarboxylated-furpipate,hydroxymethyl-furpipate,decarbbxylated-hydroxymethyl-furupuipate,dilysyl-dipyrrolone A及びdilysyldipyrrolone B)をそれぞれ反応溶液より各種クロマトグラフィーにより調製し、呈味性、抗菌活性、抗酸化などを評価できた。 また、醤油中より低分子色素を単離同定できた。
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