研究課題/領域番号 |
22300257
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
村田 容常 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (60210051)
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研究分担者 |
寺沢 なお子 金沢大学, 人間科学系, 教授 (00227513)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | メイラード反応 / 黄色 / furpipate / dupyrrolone / チオフェノン |
研究概要 |
申請者はメイラード反応の条件をコントロールすることで、色の主要成分が低分子化合物となることを見出し、新規黄色化合物群としてfurpipate類およびdilysyldipyrrolone類を単離同定している。dilysyldipyrrolone類は、リジンとキシルース系で形成されるリジン2分子とキシロース2分子からなる低分子黄色色素である。今年度はさらにリジンを含むジペプチドとキシルースの反応溶液からdilysyl-dipyrrolone類縁体を同定することを試みたその結果、反応液をLC-MS分析することによりリジンのα-アミノ基とε-アミノ基が導入された化合物ならびに2つのε-アミノ基が導入された化合物の形成を確認できた。このことはタンパク質中の2分子のリジン残基がクロモフォア形成に関与する可能性を示した。また、前年度醤油中の低分子メイラード色素を探索した結果、黄色物質として2,4-dihydroxy-2,5-dimethyl-3(2H)-thiophenoneを同定したが、その形成機構や食品中の分布を明らかにした。その結果、本色素は各種味噌や醤油中に存在し、醤油の醸造では仕込み4か月後から徐々に形成され、本色素の形成には室温では長時間を要することが分かった。また、モデル系の検討では、本色素はpH7付近で最もよく生成し、システイン-キシルースよりも、シスチン-フラクトース系で著量の色素が形成されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、LC-MSにより、リジンを含むジペプチドからdilysyldipyrrolone類関連化合物が形成されることを推定できた。このことはタンパク質系でも、本物質ができていることを予想されるもので、実際の食品系で本関連化合物の形成を示唆するものであった。また、醤油中より同定した色素(2,4-dihydroxy-2,5-dimethyl-3(2H)-thiophenone)の形成条件を検討し、高生成条件を明らかにした。システイン・ペントース系に比べ、シスチン・ペントース系で本チオフェノン色素がはるかに多く形成されることを明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
タンパク質とキシロースを反応させた系からdilysyldipyrroloneを検出しようと試みたが、dilysyldipyrroloneは酸加水分解条件で分解した。一方、酸加水分解すると新たな色素成分がHPLC上検出された。このキシロースとタンパク質を酸加水分化したときに形成される色素を単離同定したい。
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