研究課題/領域番号 |
22300261
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
江本 正志 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (70232981)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | インバリアントNKT細胞 / 米糠 / スフィンゴ糖脂質 / ナチュラルリガンド |
研究概要 |
昨年度までに、米糠中にインバリアント(i)NKT細胞のリガンドが存在するだけでなく、米糠中に存在するスフィンゴ糖脂質は、これまでに報告されているiNKT細胞のリガンドと大きく性状を異にすることを明らかにした。即ち、これまでに報告されているiNKT細胞のリガンド(例えばα-ガラクトシルセラミド)はiNKT細胞のT細胞受容体に結合した後、多量のインターフェロン-γ とインターロイキン-4 を産生させるが、米糠中に存在するスフィンゴ糖脂質は、iNKT細胞に結合しても、両サイトカインを産生させないことを明らかにした。また、これまで米糠中には単一のスフィンゴ糖脂質しか存在していないと考えられていたが、申請者等の研究により、多種類のスフィンゴ糖脂質(側鎖が異なる等)の混在していることも明らかにした。本年度はこれらの結果を元に、更に米糠中のスフィンゴ糖脂質を分画した。その結果、これまでの概念とは大きく異なり、米糠中には10種類を超えるスフィンゴ糖脂質の存在していることを明らかにした。また、これまでに米糠中に存在していると考えられていたスフィンゴ糖脂質にはiNKT細胞に全く作用しないことも見出した。このことは、米糠中にはこれまでに報告されているリガンドとは全く性状を異にする分子(スフィンゴ糖脂質:インバリアントNKT細胞のリガンド)が存在するだけでなく、新規iNKT細胞のリガンドの存在することを強く示唆している。このように、本研究は米糠中にiNKT細胞の新規ナチュラルリガンドが存在することを証明したものであり、これまで廃棄物として処理されていた米糠の新たな用途を見出しただけでなく、未知の分子が存在する可能性もあることから、食品科学の分野だけでなく、免疫学を初めとする他の分野にも大きく貢献するものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで、米糠中に存在するスフィンゴ糖脂質は1種類だけであると考えられていたが、10種類を超えるスフィンゴ糖脂質が存在していることが明らかになり、分離に手間取ってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、様々な手法を用いて、米糠中に存在するスフィンゴ糖脂質を分離・精製し、iNKT細胞に及ぼす影響を解析する予定である。
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