研究概要 |
これまでの研究成果により、生体内で生成される終末糖化産物(AGEs)の中でも糖代謝中間体に由来するグリセルアルデヒド由来AGEs(toxic AGEs, TAGEと命名)がAGEs受容体(receptor for AGEs, RAGE)を介して生活習慣病の発症・進展に強く関与していることが明らかになってきている。一方、私達の身近な食/嗜好習慣そのものが生活習慣病の引き金になっている可能性が大きく、特に単純糖質の過剰摂取と食後高血糖との関連が危惧される。 そこで、22年度においては数百種類に及ぶ飲料中の糖度およびブドウ糖濃度を測定した結果ほとんどの飲料に米国心臓協会が2009年に提示したガイドライン(健康な生活の維持のため1日の単純糖質摂取量を男性は150kcal以下、女性は100kcal以下に抑えるべきである)の基準値を超える糖質が含まれていることが明らかになった。生体内で生成されるTAGEは食後高血糖の持続によっても増加することが動物実験で示されていることから、単純糖質を多く含む清涼飲料水の過剰摂取は生活習慣病の発症・進展に強く関与している事が示唆される。 また、食品の加熱調理時に形成される食事性AGEsの過剰摂取は、動物実験において肝臓内でのTAGEの蓄積やRAGEの発現増大を招いて肝障害を引き起こす事が危惧される。そこで、数百種類に及ぶ飲料ならびに加工食品中の各種AGEs量を代表者が開発したAGEs特異抗体を用いた競合ELISA法で測定した結果、栄養機能食品や栄養調整食品に分類される加工食品に多量のAGEsが含まれていることが明らかになった。 23年度においては、糖度および各種AGEs量の測定をさらに飲食品の種類や数を増やして検討し、広く情報公開することを計画している。
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