これまでの研究成果により、生体内で生成される各種AGEsの中でも糖代謝中間体のglyceraldehydeに由来するAGEs(toxic AGEs、TAGE)がAGEs受容体(RAGE)を介して生活習慣病の発症・進展に強く関与していることが明らかになってきている。 平成22年度より、約千種類に及ぶ飲食品中の糖度および各種AGEs量を測定した結果、市販飲料のほとんどに米国心臓協会のガイドライン(健康な生活の維持のため1日の砂糖摂取量を男性は37.5g以下、女性は25g以下に抑えるべきである)の基準値を超える糖質が含まれていることが明らかになった。通常の食事に比べて清涼飲料水を摂取すると急激な血糖上昇がみられ、食後酸化ストレスの増大から組織障害が引き起こされることが示唆された。実際に、高ブドウ糖/果糖存在下で培養した血管内皮や肝細胞内においては、TAGE化蛋白質が数種類同定された。 また、ある種の飲食品には多量のAGEs(主にブドウ糖由来AGEs、Glc-AGEs)を含むものが多く存在し、これらの摂取過多により肝臓内でのTAGEの蓄積やRAGE発現の増大を招いて肝障害を引き起こす事が示唆された。これらの結果より、食事性AGEsを減らすことで臓器障害を抑制できる可能性が示唆されるが、実際に保存期腎不全患者に経口吸着炭薬kremezinを投与することで、血中Glc-AGEsおよびTAGEレベルが低下することを見いだした。さらに、食物繊維を多く含む食材にはkremezin以上のAGEs吸着活性が認められ、食物繊維の豊富な食材を調理して食べる日本食には、糖質の分解/吸収を抑えたり、食事性AGEsを吸着除去すると言った優れた機能が備わっていることが明らかになってきた。 これらの情報は、既に論文公表、学会発表、市民公開講座、新聞や健康雑誌などを通じて広く国民に公開している。
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